温泉や火山の硫化水素ってどのくらい危険?症状や応急措置も紹介

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1月16日、環境省の調査により、全国の温泉施設のうち、硫化水素濃度が基準値を超えている浴槽が33か所あったことが分かりました。

33の浴槽の内訳は、北海道に7、青森県に13、宮城県に7、山形県に6、青森市に3となっていますが、温泉施設の名前や具体的な数値データは明らかにされていません。

温泉というと硫化水素中毒の話しはよく耳にしますが、硫化水素がどんなもので、どのくらい危険なのかを知っている人はあまりいないように思います。

私を含め多くの人は、硫化水素はなんか危険なモノ、という感じではないでしょうか。

そこで今回は、硫化水素とはどういものか、どのくらい危険なのか、中毒になったときの応急措置についてご紹介したいと思います。

目次

硫化水素

硫化水素って何?

硫化水素(りゅうかすいそ)は、硫黄と水素からなる化合物(H2S)で、無色の気体です。

よく言われるように、卵が腐ったような臭い(腐卵臭)がします。

火山の噴火口の近くや温泉に行くとこの臭いがしますよね。この臭いを「硫黄臭い」と言う人がいますが、実は硫黄には臭いがなく、あの臭いにおいは硫化水素によるものです。

空気よりも重いため窪地などに溜まりやすく、火山の近くや温泉が噴き出しているあたりでは注意が必要です。

硫化水素ってどのくらい危険なの?

硫化水素は極めて強い「毒性」を持った気体です。

卵が腐ったような臭いがすると感じる濃度は、たったの0.03ppm。パーセントに直すと、0.000003% です。

20~30ppmの濃度で、嗅覚疲労を起こして、だんだんと臭いを感じなくなってしまいます。嗅覚疲労とは、同じ匂いを嗅ぎ続けていると、その匂いを感じなくなってしまうことを言います。

700ppmの濃度になると、瞬間的に嗅覚が麻痺してしまい、臭いと感じる間もなく意識を失って死に至るという恐ろしさです。

よく登山をする人で、硫化水素の臭いを感じたらそっちの方へ行かないようにすれば大丈夫、などと言ってる人がいますが、硫化水素の濃度が高いと臭いを感じることができないので、これはまったく当てになりません。

温泉での硫化水素の濃度は、浴槽の上方10cmで20ppm、浴室床面から上方70cmで10ppmを超えないよう求められているそうですが、この数値だと長い間湯船に浸かっていると中毒になりそうですね。

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硫化水素による症状と応急措置は?

硫化水素中毒の症状は、初期段階では、頭痛やめまいが起きたり、気分が悪くなり吐いたりします。

長い間硫化水素を吸っていたり、硫化水素の濃度が高いと、嗅覚が麻痺したり呼吸麻痺を起こし、気絶したりそのまま死に至ることもあります。

皮膚粘膜が影響を受けると、気管支炎や肺水腫になることもあります。

応急措置としては、中毒者を硫化水素の無い新鮮な空気中に移動させて100%酸素の吸入を行ないます。

中毒者の救出は、助けようとした人も硫化水素を吸ってしまい2次被害を引き起こすこともあるため、空気呼吸器を付けたり化学防護服の着用が必要な場合もあります。

一般には、消防に連絡し専門知識のある救急隊員に任せた方が良いかもしれません。

まとめ

全国の温泉施設で、基準値を上回る硫化水素濃度が検出された浴槽が見つかったというニュースに関連して、

  • 硫化水素はどのくらい危険か
  • 硫化水素を吸ったときの症状や応急措置

についてご紹介しました。

硫化水素中毒により温泉で人が亡くなったというニュースは、去年も幾度か目にしました。

のんびりしたいと思い温泉に出掛けて命を落としてしまうのは悲しすぎます。

そのような事故が起こらないよう、温泉施設を運営する企業や自治体には、十分な管理を行ってもらいたいですね。

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