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どのくらい酒を飲むとがんになる?グループ1の発がん性物質とは?

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10月2日、フランスのパリで開かれている世界がん会議(World Cancer Congress)で、2012年に飲酒が原因で発生した新規がん患者は70万人以上にのぼり、がん関連の死者も約36万6000人だったという発表がありました。

以前から、アルコールとがんとには関連があり、お酒を飲みすぎるとがんになることは知られていましたが、今回の発表は改めてアルコールとがんとの関係を示すものです。

お酒をどのくらい飲むとがんになるのでしょうか?

国際がん研究機関(IARC)では、アルコール飲料「グループ1の発がん性物質」に分類していますが、これはどういった分類なのでしょう?

目次

飲酒とがん

今回の発表では、飲酒をする人としない人とでがん発症リスクを比較しています。

その結果、1年間に新たにがんを発症する人全体のうち約5%、1年間にがんで死亡する人全体のうち4.5%に、アルコールが関係しているということです。

これは100人いれば、それぞれ、そのうち5人は飲酒が原因でがんになり、4.5人は飲酒が原因で亡くなっているということになります。

アルコールと最も強い関連があると分かったのは乳がんで、アルコールが原因で新しくがんと診断されるすべての種類のがんのうち4分の1以上が乳がんでした。また、乳がんでは発症リスクがアルコールの摂取量とともに増加することも明らかになっています。

乳がんの次に強い関連があったのは大腸がんで、全体の23%でした。

世界全体でみるとこのようながんの発症は、北アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ(特に東欧)の地域で多く、これらは飲酒量が比較的多いことが原因と思われます。

どのくらいお酒を飲んだらがんになる?

アルコールとアセトアルデヒド(アルコールが酵素に分解されてできる)には発がん性あり、こられに作用する酵素の働きの強い、弱いによってがんの発症しやすさも異なります。

このため、どのくらい酒を飲んだらがんになるか、というのは人によって異なり、決まった数値がある訳ではありません。

しかし、どのくらい飲んだら、がんになるリスクがどのくらい増えるか、というデータはあります。アルコールととくに関連性が高い乳がんと大腸がんについて見てみましょう。

乳がん

欧米での研究データですが、58,000以上の症例を含む53の研究をまとめた解析では、エタノールで10g(アルコール5%のビールなら250㎖相当)増加するごとに、リスクが7.1%増加します。

日本においても近年女性の飲酒が増えていますが、日本での研究では飲酒と乳がんとの関連がまだはっきりしていません。

大腸がん

大腸がんは、エタノール換算50g(5%ビール1,250㎖)で1.4倍程度のリスクになります。

日本と欧米との研究を比較してみると、同じ量の飲酒でも日本人は欧米人よりも大腸がんのリスク増加が若干多いそうです。つまり、日本人は欧米人よりも、飲酒による大腸がんになりやすい、ということです。

私はこのデータを知って、ちょっとお酒を控えめにしようかな、と思ってます(苦笑)

その他の日本の研究宇

ちょっと古い研究ですが、厚生労働省多目的コホート研究(2005年)によると、男性に発生したがん全体の13%が週300g以上の飲酒によるものと概算されています。

週300gというのは、先ほどのビールで言えば毎日1ℓ以上、アルコール10%の日本酒では毎日約3合を飲む量に相当します。

ふつうの人は毎日これほどの量は飲まないのですよね? いや飲んでいる人意外に多いのかな(笑)。

また、別の研究では、46-69g以上の飲酒はがん全体の死亡リスクを高めることが分かっています。ただ、女性に関しては飲酒者のデータが男性ほど多くなく、飲酒の影響について男性ほど明らかになっていません。

そして、すでに説明しましたが、飲酒が関係する発がんでは安全な飲酒量は示されていません。理由は、想像ですが、個人差があるということもありますし、これを目的とした研究もなされておらず、安全な飲酒量を算出するためのデータがない(不足している)ためではないかと思います。

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グループ1の発がん性物質とは

国連の国際がん研究機関(IARC)は、アルコール飲料を「グループ1の発がん性物質」に分類しています。

IARCは、発がん性物質を発がんリスクの大きさから、グループ1~4の5つのグループに分類しています(グループ2は、2Aと2Bの二つがあります)。

アルコール飲料が分類されているグループ1は、一番発がんリスクが高いグループです。このグループ1には、カドミウムダイオキシンタバコなど、いかにもというものが名前を連ねています。

アルコールってそんなに怖いものなんでしょうか?

じつは、IARCによるこの分類は、発がん性の強さではなく、発がん性の証拠の強さを評価した結果なのです。

え? 良く分からないですか?

アルコールがグループ1に分類されているのは、アルコールがそのものの発がん性がとても強いからではなく、アルコールが発がんに関連している証拠が十分にあるから、なのです。

だから、アルコールとダイオキシンが同じ分類なんですね。

IARCによる発がん性の分類についてもう少し見ていきましょう。

IARCによる発がん性の分類

先ほども説明しましたように、IARCでは発がん性リスクの度合いに応じて5つのグループに分けています。

各グループの説明と、そのグループに分類された因子(物質や環境など)を表にしたものを掲げます。

グループ1
ヒトに対して発がん性がある
ヒ素、アスベスト、ホルムアルデヒド、カドミウム、ダイオキシン、たばこ、アルコール飲料、エックス線(合計116種)
グループ2A
ヒトに対しておそらく発がん性がある
紫外線、非ヒ素系殺虫剤、ディーゼルエンジンの排気ガス、日焼けランプ(合計70種)
グループ2B
ヒトに対して発がん性があるかもしれない
アセトアルデヒド、コーヒー、鉛、低周波磁場、漬物、ガソリン(合計285種)
グループ3
ヒトに対する発がん性を分類できない
カフェイン、原油、水銀、サッカリン、お茶、塩素消毒した飲料水(合計506種)
グループ4
ヒトに対しておそらく発がん性はない
カプロラクタイム(1種)

意外なものが表内にあって驚きますよね。コーヒー、お茶、漬物…

私たちの身の回りにはこのようなものがたくさんあり、私たちは知らない(ほとんど意識しない)で生活しているんです。

この表を見て、あまり神経質になりすぎないようにしてくださいね。

まとめ

本記事では、飲酒(アルコール)と発がんリスクについて、そしてIARCの発がん性リスクの分類についてご紹介しました。

酒は「百薬の長」なんて言われてきました。

たしかに、有害なLDLコレステロールの増加を抑えて、善玉コレステロールであるHDLコレステロールを増加させたり、気分をリラックスさせてくれたりします。

ポリフェノールが心筋梗塞の予防に役立つとかで、赤ワインがもてはやされたこともありました。

でも、度を過ぎた飲酒はがんの発症リスクをグっと引き上げてしまいます。

お酒が大好きな人は、ぜひ「適量」を心掛けて健康管理をしてくださいね。

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