上高地は冬にも観光できるが、なぜ冬季閉鎖するのかその理由も考えよう

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真っ白な雪におおわれた冬の上高地は、シーズン中とはまったく異る美しさがあり、ぜひ一度観光に行ってみたいと思っている人も多いと思います。

ですが、上高地は冬のあいだは「冬季閉鎖」されており、簡単には訪れることができません。

本記事では冬に上高地に観光に出かけると言うことはどういうことなのか、なぜ冬季閉鎖されるのかについて解説しています。

また、冬の上高地へのアクセス方法についてもご紹介しています。

本記事のポイント
  • 上高地の冬はとても気象条件が厳しく観光ではなく冬山登山の覚悟が必要
  • 冬季閉鎖の理由は、利用者の安全のため、自然保護のため
  • 冬に上高地に行くにはシーズン中と同じくバスやタクシーが利用可能
目次

上高地の冬の観光は冬山登山のつもりで

冬の上高地:河童橋

上高地の冬の気象条件は非常に厳しくなることで知られており、大げさに言えば「観光ではなく冬山登山」に出かけるくらいの覚悟をしたほうがよいです。

冬の気温

残念ながら、上高地はAMEDAS(アメダス)による気温の観測が行われておらず、年間を通した正確なデータはありません。

個別に冬の上高地に入った人たちの報告によると、条件が揃えば −20℃ を下回るような低温になります(厳冬の上高地 ~静寂と彩の世界~)。

冷凍庫の内部(−18℃くらい)よりも低い気温なんて、ふだん街で生活している人にはちょっと想像できませんよね。

ここまで気温が下がらない場合でも −10℃ 以下であることが多く、冬に上高地に行くのであれば冬登山並みにしっかり防寒対策をする必要があります。

厳しい気象条件

北アルプスの南部に位置する上高地は標高約1,500mで「高山」ではありませんが、降雪量は多く雪崩落石の危険があります。

道路や遊歩道が露出している場所では、凍結による転倒の危険もあります。

強い風が吹けば地吹雪となり、道を見失ったり自分の居る場所が分からなくなったりします。

大正池から小梨平にいたる梓川沿いは比較的平らであるため忘れがちですが、上高地は「山」の中にあるということを忘れないようにしてください。

行くなら経験者同伴かツアー利用で

もしあなたが冬の上高地が初めてということであれば、これまでに冬の上高地に行ったことのある経験者と行ってください。

できれば複数回行ったことがある人が望ましいです。

まわりにそのような人がいない場合は、旅行会社で企画されるツアーなどを利用するようにしてください。

急な天候の変化への対処方法や、冬の上高地をどう楽しんだらよいか知っている人と行くほうが安全ですし安心できます。

上高地はなぜ冬季閉鎖されるのか

冬の上高地:焼岳を望む

上高地は、2023年は11月16日から翌年の4月16日までの約5か月は冬季閉山となります。

上高地の閉鎖期間

11月16日から翌年の4月16日

この期間は、釜トンネルから大正池、上高地バスターミナルに続く上高地公園線は通行止めとなり、上高地へのバスやタクシーの運行も行われなくなります。

長野県の公式ページによれば、2024年(令和6年)の4月16日までが冬季閉鎖期間となっています。が、毎年必ず4月16日までと決まっているわけではありません。

冬季閉鎖の理由

上高地が冬季閉鎖となる理由は、ネットで検索しても『〜の理由で冬季は閉鎖されます』というような説明を見つけることはできません。

しかし、上高地の冬の自然環境を考えると次のことが理由に含まれていることは間違いないでしょう。

上高地が冬季閉鎖となる理由
  • 利用者の安全を確保するため
  • 上高地の自然環境を保護するため

前述したように冬の上高地は気温が低く、また「冬山」のように厳しい気象条件となることがあります。

「冬山」に慣れていない人たちが冬の上高地に入るには大きなリスクを伴うため、観光客を危険にさらさないよう冬季は閉鎖していると考えられます。

また、上高地にはシーズン中の約8か月のあいだに約120万人もの観光客が訪れるため、自然に対して大きなストレスを与えているだろう、ということは容易に想像できます。

せめて冬の間は多くの人が上高地に入らないようにし、自然が一年中ストレスを受け続けることがないようにという配慮があると考えられます。

環境省の『上高地の冬期入山ルールについて』には、自然と人間との関わりについて次のような記載があります。

冬期閉鎖期間の上高地は、極力人間活動による影響をなくし、静寂な自然環境を維持すべきとの認識から、地域関係者及び関係行政機関等の連携・協力のもと、平成22年に「上高地地域冬期利用管理方針」を策定し、入山者に対して様々な普及啓発を行っています。

引用元:上高地の冬期入山ルールについて

また、詳細は不明ながら別な理由として、冬季の閉山は『山の神様にお休みいただくため』という理由もあるようです。

この「山の神様」は、例年6月17日に西穂高岳登山口の近くにある大山神社で神事が行われる「山の神」のことなのかは不明です。こちらの神様は樵(きこり)や猟師にとっての「山を守る」神様でした。

冬季に開いてる小屋

上高地の範囲を大正池から河童橋(小梨平を含む)あたりまでとするなら、冬季に利用できる宿泊施設はありません。

ここでは「小屋」に旅館やホテルも含めています。なお、純粋に山小屋と言えるのは西糸屋の別館だけです。

上高地の範囲を明神あたりまで広げると、旅荘・山のひだやが冬季でも営業しています。

山のひだ屋のWEBページには冬季営業についての掲載はありませんが、営業しているのは確かです。

詳細については直接電話で確認をお願いします。宿泊には事前の予約が必須となります。

旅荘・山のひだや:電話 0263-95-2211

冬の上高地へのアクセス方法

冬の上高地バスターミナル

冬季の閉鎖期間中は上高地公園線は通行止めとなっているため、直通バスやタクシーで上高地内に行くことはできません。

交通機関を使って行けるのは釜トンネル入口近くの中の湯までで、中の湯から先は徒歩で移動することになります。

文中の運賃はすべて2024年1月現在の金額です。

松本駅から行く

松本駅から中の湯に行くには次の2つの方法があります。

  • 特急バス
  • タクシー

特急バスを利用する

特急バスを利用する場合は、松本駅の東口(お城口)を出て、右手前方ALPICO PLAZAにある松本バスターミナルから乗車します。

中の湯までは約90分ほどで、運賃は2,250円。利用時に事前の予約は不要です。

中の湯から戻る時も特急バスを利用するのであれば、帰りのバス時刻の確認も忘れずに。

>> 中の湯への特急バスの詳細を調べる

タクシーを利用する

タクシーで中の湯まで行く場合は、約60分ほどかかり、運賃は20,000円前後。

松本駅からだとかなり高額になるので、バスの時刻表に合わせた行動ができないときや、予算に余裕があるときの利用をおすすめします。

沢渡から行く

沢渡までは車で行くことを想定しています。

冬季のR158は積雪がなくても路面凍結していることがよくあります。勾配の急な区間もありますので、運転には十分に注意してください。

冬季の沢渡駐車場は「市営第2駐車場 足洗公園」が無料で利用できます。

550台も駐車可能ですので満車で駐められないことはまずないと思われますが、大雪で除雪が間に合わず駐車可能台数が少なくなっている場合もあります。

沢渡から中の湯に行くには次の3つの方法があります。

  • 徒歩
  • バス
  • タクシー

徒歩で行く

沢渡から中の湯までは約8kmあり、シーズン中でも1時間半ほどかかるので、積雪や路面凍結のある冬はさらに時間がかかると思われます。

中の湯から釜トンネルを経て大正池、河童橋まではさらに1時間半〜2時間ほど。

片道4時間前後かかることを考えると、沢渡から上高地への徒歩移動はあまりおすすめできません。

小梨平でテント泊するのであればアリかもしれませんが、日帰り散策なら私なら迷わずバスかタクシーを選びます。

バスで行く

松本駅からの特急バスが、沢渡内の冬季専用バス停に停車しますので、これを利用することができます。

バス停の名前は 「K-21 足洗公園前」で、場所は下図のとおりです。「沢渡バスターミナル」にバスは停まりませんので注意してくださいね。

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