雪に覆われた静かな上高地。その美しさに惹かれ、「冬でも歩けるのでは」と考える人は少なくありません。けれど、冬の上高地は夏とはまったく別の顔を持つ場所です。交通や施設は止まり、自然条件も一変します。
この記事では、冬に釜トンネルから上高地を歩く際に、事前に知っておきたい現実と判断のポイントを、落ち着いて整理します。無理のない計画を立てるための参考にしてください。
その絶景は「観光」ではなく「冒険」である
夏、鮮やかな緑と透き通る梓川、そして賑わう観光客で溢れる上高地。
しかし、冬になるとその景色は一変します。
聞こえるのは風の音と、自分の足が雪を踏みしめる音だけ。
すべての色彩が雪と氷に覆われ、モノクロームの静寂に支配された世界。
それが、冬の上高地です。
多くの登山者や写真家が、この圧倒的な美しさに魅了され、足繁く通います。
SNSで見かける、凍結した大正池に映る真っ白な穂高連峰の写真を見て、「私も行ってみたい」と思ったことはありませんか?
あるいは、「冬でも歩いていけるらしい」という噂を聞いて、次の週末の予定を考えているかもしれません。
でも、ちょっと待ってください。
もしあなたが、「夏と同じようにバスで行って、散策道を軽く歩いて、カフェでアップルパイを食べて帰ってくる」つもりなら、その計画は今すぐ白紙に戻すべきです。
断言します。冬の上高地は「観光地」ではありません。そこは完全に「冬山」です。
上高地は「閉鎖中」です
まず、最も重要な事実をお伝えします。
上高地は、例年11月15日の閉山式をもって「冬期閉鎖」に入ります。
2025年シーズンであれば、2025年11月16日から2026年4月16日までの間です。
「閉鎖」といっても、物理的に壁ができて入れなくなるわけではありません(正確には、車道は県道釜トンネル入り口で封鎖されます)。
人間が歩いて入ること自体は禁止されていませんが、環境省や地元自治体などのスタンスは明確です。
冬期の上高地は、公園利用のための施設(ホテル・旅館・売店・バスターミナル等)は、営業しておりません。
全て自己責任での冬山登山となります。
(出典:環境省 2025.11.14 注意喚起)
つまり、夏の感覚で「困ったらどこかで助けてもらえる」とは考えないほうがいい場所です。トイレ・食事・暖を取れる場所・公共交通の乗り入れなど、頼れるサービスは基本的に止まっています。
それが冬の上高地です。
それでも行く価値がある理由
これほど厳しく注意喚起をするのは、あなたを脅して遠ざけたいからではありません。
むしろ逆です。
きちんとした準備と覚悟を持った人だけが、あの絶景に安全にたどり着けるようにしたいからです。
釜トンネルという長く暗いトンネルを、自分の足で登りきった先。
トンネルを抜けた瞬間に目に飛び込んでくる、焼岳の真っ白な姿。
大正池の湖面に広がる霧氷の輝き。
雪の上に残るウサギやキツネの足跡。
そして何より、夏の喧騒が嘘のような、耳が痛くなるほどの静寂。
この感動は、リスクを理解し、準備をした者だけに与えられる特権です。
この記事のゴール
この記事は、あなたが「冬の上高地に行きたい」と思ったとき、安全に楽しんで無事に帰ってくるためのガイドブックです。
読み進めることで、以下のことができるようになります。
- 今の自分のレベルでどこまで行けるかを判断できる(大正池までか、河童橋までか、それとも止めるべきか)。
- 必要な装備を漏れなく準備できる(スノーシュー、軽アイゼン、ヘッドライトなど)。
- 具体的な行動計画を立てられる(何時に釜トンネルに入り、何時に撤退するか)。
冬の上高地は、初心者であっても「正しい手順」を踏めば、手の届く冒険です。
しかし、ひとつ間違えば遭難や低体温症のリスクがある場所でもあります。
さあ、観光気分を捨てて、冒険の準備を始めましょう。
行き方と心得(釜トンネルという関門)

冬の上高地への旅は、「釜トンネルの入り口」に立つところから始まります。
ここに来るまでにも、夏とは全く違うルールが適用されます。
上高地バスターミナル行きのバスは来ません。どうやって入口まで行くか?
夏なら各地から直通バスが頻繁に出ていますが、冬期閉鎖中は「上高地バスターミナル」への公共交通の乗り入れはありません。
まずは釜トンネル入口の中の湯ゲート周辺(中の湯バス停付近)まで、タクシーや周辺宿の送迎などでアプローチします。
エントリー手段:タクシーか、マイカーか、徒歩か
冬季に釜トンネル入り口(中の湯ゲート)までたどり着く方法は限られています。
- マイカー:
- 釜トンネル手前の「中の湯売店」周辺には数台の駐車スペースがある場合がありますが、除雪状況によっては停められないこともあります。
- また、坂巻温泉など周辺施設に有料で駐車させてもらい、そこからタクシーや徒歩で移動する方法もあります。利用可否は 事前に確認・予約 しておくと安心です。
- 路上駐車は除雪作業の妨げになりやすいので、避けてください。
- タクシー:
- 松本駅や新島々駅からタクシーを利用するのが最も確実です。
- または、路線バスで「親子滝」や「坂巻温泉」まで行き、そこからタクシーを呼ぶ(または歩く)手もありますが、バスの本数も少ないため綿密な計画が必要です。
- 周辺の宿を拠点にする:
- 上高地公式の案内では、「坂巻温泉旅館」や「中の湯温泉旅館」は通年営業(※休館あり)とされています(出典:上高地公式 2025年シーズン終了のお知らせ)。
- これらの宿に宿泊し、釜トンネルまでの送迎をお願いするか、拠点として歩き出すのが、初心者には最も現実的で安全な選択肢です。朝一番で動き出し、下山後は温泉で温まることができます。
洗礼の儀式:「釜トンネル」歩き
さあ、ゲートに着きました。ここからがいよいよ本番です。
冬の上高地に入るには、この「釜トンネル」を徒歩で通過しなければなりません。
- 全長: 約1,310m
- 勾配: ずっと上り坂(最大勾配約11%)
- 所要時間: 成人の足で20分〜40分
「たかがトンネルでしょ?」と甘く見てはいけません。
かつての釜トンネルは「狭い・暗い・急勾配」の三重苦で有名でしたが、新トンネルになってからは広くきれいになりました。
それでも、入り口から出口までひたすら続く上り坂は、地味に体力を削ります。
冬用アウターを着込んで重い荷物を背負って歩くと、トンネルの中だけで汗だくになることもあります(ここで汗をかくと、外に出た瞬間に冷えて低体温の原因になるので、トンネル内ではアウターを脱ぐなどの体温調整が重要です)。
真っ暗闇のリスク
トンネル内には照明がありますが、時間帯や時期によっては消灯されていることもあります。あるいは、非常灯のみで薄暗いことも。
さらに、2016年に開通した「上高地トンネル」など、その先のルートも含めて、真っ暗な区間が存在する可能性があります。
ここで必須になるのが「ヘッドライト」です。
足元が見えない不安だけでなく、後ろから工事用車両(許可車両)が通る可能性もあります。自分の存在を知らせるためにも、ライトは必携です。
スマホのライトで代用しようとする人がいますが、バッテリー温存の観点からも絶対にやめましょう。
登山届(入山計画書)の提出義務
釜トンネルの入り口(中の湯ゲート)には、警備員さんが立っている場合もありますが、基本的には自分でゲートの脇から入ります。
そこに、登山届の提出箱が設置されています。
冬の上高地に入ることは「登山」です。
長野県の条例、および環境省の指導により、登山届の提出が義務付けられています。
- 提出方法:
- 現地のポストに紙で投函する
- オンライン登山届「コンパス」などを利用して事前に提出する
オススメは断然オンライン提出です。
現地で寒さに震えながらペンを走らせるのは大変ですし、書き忘れのリスクもあります。
自宅の暖かい部屋で、ルートとメンバー、緊急連絡先をしっかり入力して送信しておきましょう。
これが、万が一遭難した際の命綱になります。
ルートプランニング(大正池で引き返す勇気)

釜トンネル(と、その先に続く上高地トンネル)を抜けると、いよいよ雪の上高地エリアです。
ここで多くの人が悩むのが、「どこまで行くか」です。
初心者に強くおすすめするプランと、リスクの高いプランを明確に区別して紹介します。
【推奨】プランA:大正池往復コース(雪景色入門)
初めて冬の上高地を訪れるなら、まずはこのコースを目指してください。
- ルート: 釜トンネル出口 〜 大正池 〜 (折り返し) 〜 釜トンネル出口
- 所要時間: 往復 約2.5〜3.5時間(休憩含む)
- 特徴:
- 釜トンネルと上高地トンネルを抜けた後、少し歩けばすぐに大正池に到着します。
- 目の前に広がる焼岳と穂高連峰のパノラマは、この場所だけでも十分に「来てよかった」と思える絶景です。
- 大正池周辺で写真を撮り、温かいコーヒーを飲んで引き返す。これだけでも立派な冬の冒険です。
- 体力にも余裕を持って帰れるため、最も安全マージンが高いプランです。
【中級】プランB:河童橋往復コース(体力の限界への挑戦)
ガイドブックなどでよく見る「河童橋」まで行くプランです。
しかし、これはプランAに比べて格段にハードルが上がります。
- ルート: 大正池 〜 田代湿原 〜 田代橋 〜 河童橋 〜 (折り返し)
- 所要時間: 往復 約5〜7時間
- 特徴:
- 大正池から河童橋までは、夏なら1時間のハイキングコースですが、冬は倍近い時間がかかることもあります。
- 雪の深さ(ラッセルが必要か)、トレース(踏み跡)の有無によって、コースタイムが劇的に変わります。
- 往復で10km以上、雪道を歩き続ける体力が必要です。
- 14時頃には釜トンネル出口に戻り始めないと、日没のリスクがあります。
初心者は、まずは大正池を目指し、当日の天候と体調、そして時刻を見て「今日はここまで」と引き返す勇気を持ってください。
河童橋は逃げません。無理をして河童橋タッチを目指し、疲労困憊で日没後のトンネルを歩くことほど危険なことはありません。
決して無視できない「雪崩リスク区間」
ルートを選ぶ上で、絶対に知っておかなければならない危険箇所があります。
「上高地トンネル出口 〜 大正池」の県道上です。
環境省や長野県の資料でも、この区間は「雪崩・落石注意区間」として明記されています。(出典:上高地冬期入山ルール)
焼岳側の斜面から、大規模な雪崩が道路上に押し寄せる可能性があります。
- 対策:
- この区間を歩くときは、斜面(山側)の様子に注意を払う。
- 立ち止まってお茶を飲んだり、おしゃべりをしたりしない。速やかに通過する。
- もし雪崩の痕跡や、落石が転がっているのを見たら、すぐに引き返す判断も必要です。
冬の上高地は、どこでも安全な公園ではありません。
こうした「死のリスク」が潜んでいるエリアを通らせてもらっている、という意識を常に持ってください。
装備の「観光気分」を捨てる
「ユニクロのダウンとスニーカーじゃダメですか?」
答えは「絶対にダメ」です。
釜トンネルの中は歩きやすくても、一歩外に出ればそこは氷点下の雪国。
さらに、除雪されていない道路や遊歩道を歩くことになります。
装備の不備は、そのまま「低体温症」「転倒・滑落」「凍傷」に直結します。
ここでは、初心者が揃えるべき「命を守る装備リスト」を公開します。
1. 足元の装備(滑らない、濡れない)
スニーカーやムートンブーツは論外です。以下のいずれかを用意してください。
- 防水の登山靴・スノーブーツ:
- くるぶし以上まであるハイカットのもので、防水透湿素材(ゴアテックス等)のものが必須。
- 靴下が濡れると一気に凍傷のリスクが高まります。
- スノーシュー vs チェーンスパイク vs 軽アイゼン:
- チェーンスパイク/軽アイゼン: 必須です。圧雪された道路や、凍結したトンネル出口付近ではこれがないと転びます。装着が簡単で歩きやすいチェーンスパイクが初心者に人気です。
- スノーシュー(西洋かんじき): 「新雪のふかふかエリア」を歩くなら必須です。しかし、実は圧雪された硬い道や氷の上では逆に滑りやすく、歩きにくい場合もあります。
- 結論: 基本はチェーンスパイクで歩き、雪が深くて足が埋まる場所(大正池〜河童橋の遊歩道など)に行くならスノーシューに履き替える、という「両方持ち」がベストです。もしどちらか一つなら、ルート状況によりますが、大正池往復でトレース(踏み跡)がある前提ならチェーンスパイク等が優先度高めです。
2. ウェア(レイヤリングの魔法)
「分厚いコートを1枚」は最悪の選択です。
歩いているときは暑くなり、止まると急激に冷えるのが冬山。脱ぎ着で調整できる「レイヤリング(重ね着)」が基本です。
- アウター: 防水・防風のハードシェル(レインウェアでも代用可だが、中に十分着込むこと)。
- ミドル: フリースやインナーダウン。
- ベース: 化繊やウールの肌着(綿のTシャツは汗冷えするので絶対NG)。
そして、意外と忘れがちなのが「末端の防寒」です。
- 手袋: 防水のアウターグローブと、保温のインナーグローブの二重構造推奨。予備の手袋も必ず持っていくこと(雪で濡らしたら終わりです)。
- 帽子・ネックゲイター: 耳と首を守れるもの。
3. 三種の神器+α
- ヘッドライト: 前述の通り、トンネル用および日没対策として必須。予備電池も。
- スノーシューの誤解:
- 「スノーシューがあればどこでも歩いていい」のではありません。
- 湿原には絶対に踏み込まないでください。 雪の下で植物が眠っています。道路や木道の上(の雪の上)を歩くのがルールです。(出典:冬期入山ルール)
- 予備バッテリー:
- 氷点下の環境では、スマホのバッテリーは驚くべき速さで消耗し、突然シャットダウンします。
- モバイルバッテリーを「温かい場所(体の近くのポケット)」に入れて持参し、充電ケーブルも繋ぎながら使うくらいの対策が必要です。
4. 万が一の備え
- ツェルト(簡易テント)またはエマージェンシーシート: 動けなくなったときに、風雪を凌いで救助を待つための薄い幕。これ一枚で生存率が変わります。
- 保温ボトル: 温かい飲み物(お湯、紅茶など)を入れておきましょう。現地に自販機はありません。冷たいペットボトルの水は、凍って飲めなくなることもあります。
- ホッカイロ: スマホの裏に貼る(低温シャットダウン防止)ためにも使えます。
現地のリアル(トイレ・食事・ゴミ)
人間が生きていく上で避けられない「生理現象」と「食事」。
このインフラが、冬の上高地では極端に制限されます。
トイレ問題:場所を暗記せよ
「行きたくなったら探せばいいや」は通用しません。
冬期でも開放されているトイレはごく一部に限られています。
2025-2026年シーズンに想定される利用可能トイレは以下の通りです(出典:上高地冬期入山ルール)。
- 中の湯ゲート: 釜トンネル入り口の手前。ここで確実に済ませてから入山しましょう。(設置期間:12月2日〜3月30日予定 ※要確認)
- 大正池: 大正池ホテルの近くにある公衆トイレ。
- 中の瀬: 帝国ホテル付近のトイレ。
- 上高地バスターミナル: 郵便局の裏手に冬期用トイレがあります。
- 小梨平: 小梨平キャンプ場内。
これ以外のトイレ(河童橋周辺のチップ制トイレなど)は、基本的に閉鎖されています。雪に埋もれて入り口すら見えないこともあります。
次のトイレまで徒歩1時間、ということもザラですので、早め早めの行動を心がけてください。
食事は「寒風レストラン」で
営業しているレストラン、カフェ、売店は一軒もありません。
大正池ホテルも帝国ホテルも、冬期は休業中です。
- ランチ:
- 自分でお昼ご飯を持っていくしかありません。
- おにぎりやパンは、極寒の中では冷え切って硬くなり、美味しくないばかりか体温を奪います。
- カップラーメンを持っていくなら、お湯を山専ボトル(高性能保温ボトル)に入れて持参するのが一番です。
- 行動食:
- 歩きながらエネルギー補給できるチョコレート、ナッツ、羊羹などをポケットに入れておきましょう。
ゴミは100%持ち帰り
これは当たり前のマナーですが、冬は特に重要です。
ゴミ箱など存在しません。
食べたおにぎりの包装紙、使い捨てカイロ、鼻をかんだティッシュ。すべて持ち帰ってください。
動物への配慮
「誰も見ていないから」と食べ残しを捨てると、冬眠していない野生動物(キツネやテン、時にはクマ)を人間の食べ物に依存させることになります。
特にツキノワグマについては、冬眠中とはいえ、暖冬などの影響で活動している可能性もゼロではありません。(出典:環境省 中部山岳国立公園のツキノワグマ対策資料)
食料の匂いをさせない(ジップロックで密閉する)、ゴミを残さないことは、自分の身を守るためでもあります。
リスク管理(こんな日は行かない)
最高の思い出にするための最大の秘訣。
それは「条件が悪い日は行かない」という判断ができることです。
天候判断の基準
- 前日からの降雪:
- 一晩で数十センチの雪が積もった直後は、ラッセル(雪をかき分けて進むこと)が必要になり、コースタイムが倍増します。また、雪崩のリスクも最高レベルに高まります。
- 初心者は近寄らないのが吉です。
- 風速:
- 気温が0度でも、風速10mなら体感温度はマイナス10度以下。低体温症のリスクが跳ね上がります。
- 大正池などの開けた場所では、風を遮るものがありません。
- 視界(ホワイトアウト):
- 雪が激しく降り、視界が真っ白になったら、即座に撤退してください。方向感覚を失い、道路から外れて川や崖に転落する恐れがあります。
連絡手段の確保
上高地エリアは、ドコモなどの携帯電波が入る場所も多いですが(バスターミナル周辺など)、釜トンネル内や山影では圏外になる場所もあります。
「いつでも助けを呼べる」と思わないこと。
- 単独行(ソロ)の危険:
- もし滑って足を骨折したら。もし低体温で動けなくなったら。一人の場合、それは死を意味します。
- 初心者の冬の上高地ソロは推奨しません。必ず複数人で行動するか、ツアーに参加してください。
最後の砦:ガイドツアーの利用
ここまで読んで「準備が大変そうだな」「自分たちだけで判断できるか不安だな」と思った方へ。
正解は「プロのガイドツアーに参加する」ことです。
松本市や上高地周辺のネイチャーガイド団体が、冬期上高地のスノーシューツアーを主催しています。
- 釜トンネル入り口までの送迎付きプランがある。
- スノーシューやストックをレンタルできる。
- その日の雪崩リスクや天候、見どころを熟知したガイドが先導してくれる。
- ペース配分もお任せできる。
初心者が安全に、かつ確実に絶景を楽しむための最短ルートは、間違いなくガイドツアーです。
「自由に行きたいから」と無謀な計画を立てるより、プロに頼って安全を買う選択肢を強くおすすめします。
実行手順まとめ:今日から始める準備リスト
最後に、冬の上高地へ行くための具体的なTo Doリストをまとめます。
- 装備の点検:
- 防水の登山靴はあるか?
- チェーンスパイク(またはスノーシュー)は用意したか?
- ヘッドライトの電池は切れていないか?
- 計画の立案:
- メンバーの体力に合わせたルートを決める(大正池往復が基本)。
- オンライン登山届「コンパス」で下書きを作る。
- アクセスの確保:
- 中の湯温泉や坂巻温泉に宿泊予約を入れるか、タクシー会社を調べる。
- マイカーならスタッドレスタイヤ+チェーン携行を確認。
- 直前の天気予報チェック:
- 出発2日前〜前日に、松本市安曇エリアの天気予報と、上高地公式の最新情報(Xやブログ)を確認。
- 「警報級の雪」「強風」なら、勇気ある中止を決断する。
結論:静寂への切符は「準備」で買う
冬の上高地。
そこには、一度見たら一生忘れられないほど美しく、荘厳な景色が待っています。
しんしんと降り積もる雪、氷結した木々、音のない世界。
その世界への入場券は、お金では買えません。
「入念な準備」と「リスクへの理解」 という対価を支払った人だけが、そのゲートをくぐることができます。
脅かすようなことばかり書きましたが、準備さえ万端であれば、そこは素晴らしいフィールドです。
どうか、十分すぎるほどの装備を整えて。
無理のない計画で。
そして、自然への敬意を忘れずに。
最高の白銀の世界が、あなたを待っています。
