日本の地名が付いた地質年代名「千葉時代(チバニアン)」の採用が決まったようですね!
正式に承認されるのは来年だそうですが、ほぼ「決定」で間違いないようです。
日本の地名が地質年代名に付くのは初めてのことで、世界中の教科書に「千葉時代(チバニアン)」が載るかと思うとワクワクしてきます。
ライバルにはイタリアの「イオニアン」があったのですが、「チバニアン」が採用された理由や、「チバニアン」の年代の特徴、「チバニアン」の地層が実際に見られる場所についてまとめてみました。
(ヘッダ画像はイメージです)
千葉時代(チバニアン)
千葉時代(チバニアン)の特徴
チバニアンと呼ばれる(ことになる)地質年代は、およそ78万年前から12万6千年前までで、新生代第四紀の、更新世中期にあたります。
更新世は、15回も氷河期と間氷期を繰り返した時代で、私たちの祖先であるヒト族が進化した時代でもあります。
私たちの祖先は、寒冷な気候を耐え抜いてくれたおかげで、こうして私たちが今いるんですね。
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チバニアンが採用された理由
地質時代は、気候の変動や生物の生態系の変化などをもとに区切られており、時代と時代の境界であることがハッキリ分かる地層(のある場所)を「国際模式地」と呼びます。
第四紀更新世の前期と中期を分ける「国際模式地」には、千葉県市原市田淵にある「千葉セクション」と呼ばれる場所以外にも、イタリアの南部、モンテルバーノ・イオニコ(Montalbano Jonico)とヴァレ・デ・マンケ(Valle di Manche)の2地点が候補となっていました。
日本からは「チバニアン」が、イタリアからは「イオニアン」が地質時代として国際地質科学連合に申請されていたのですが、今月に行われた作業部会での投票の結果、日本が6割以上の支持を得て事実上にチバニアンが選ばれたのです。
では、その理由は?
「下部‐中部更新統境界検討委員会」のサイトによると、「千葉セクション」が国際模式地として認定される重要な条件として、下記を上げています。
- 海底下で連続的に堆積した地層であること
- 地層中に過去の地磁気の逆転が記録されていること
- 地層の堆積した当時の環境変動が詳しくわかること
第四紀更新世の前期と中期とでは地磁気が逆転しており、千葉セクションからは世界最高精度で地磁気逆転の記録が復元できたの対して、イタリアの候補地はこのデータが不十分だったため、これがチバニアンが選ばれた理由ではないかとみられています。
チバニアンの正式決定はいつ?
国際模式地は次のようなステップで決定されます(産総研『国標準模式地の審査状況について』から)。
- WG on L-M boundary(下部-中部更新統協会作業部会)で最適な候補をひとつ選出して、SQS(第四紀層序小委員会)へ答申。
- SQS(第四紀層序小委員会)で答申を認めるかを投票。60%以上の得票が必要。
- ICS(国際層序委員会)で投票。60%以上の得票が必要。
- IUGS(国際地質科学連合)で投票。60%以上の得票が必要。
- 国際模式地(GSSP)に決定
今回は、1番目のSQS(第四紀層序小委員会)への答申が行われたところなので、あと3つの審査を経なければなりません。
2番目以降の投票の時期は通知されておらず、最終的にいつ国際模式地に決定されるのかは不明です。
『来年初めにも決定』のような報道が一部にありましたが、少なくとも来年以降となる見込みです。
よほどのことがない限り「千葉セクション」が国際模式地に選ばれると思われますが、正式な決定はもう少し待つ必要があるようですね。
地磁気の逆転層が見られる場所
「千葉セクション」は、千葉県市原市田淵の養老川沿いにあります。
左下のピンク色の四角い領域が「千葉セクション」で、右上の「田淵会館」からは徒歩で5~10分ほどかかります。
最寄り駅は小湊鉄道の月崎駅で、県道172号線と県道81号線をたどると、田淵会館までは約2kmほどの距離になります。
まとめ
「千葉セクション」が正式に承認されるまで、あと3回ほどの審査を経なけらばならないそうですが、作業部会での結果がひっくり返えされることは、まず無いとのことなので事実上の決定と思って良さそうです。
正式に承認されると『Golden Spike』が地層に打ち込まれるということです。
『Golden Spike』が撃ち込まれたら、ぜひ「千葉セクション」に行ってみたいと思います。
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