3月15日、マレーシアの副首相であるアフマド・ザヒド・ハミディ氏は、2月13日にクアラルンプール国際空港で殺害された男性が、金正男(キム・ジョンナム)氏であることを確認したと発表しました。
金正男氏の身元確認には、正男氏の子供のDNAサンプルを使用したとのことです。
副首相の発表では明らかにされませんでしたが、身元確認のためにDNAのサンプルをマレーシアに提供した子供とは誰でしょうか? それはいつの事だったのでしょうか?
今回はこのあたりについて「想像」してみたいと思います。
DNAサンプルと身元確認
ハミディ副首相は、調査官が正男氏の子どもから入手したサンプルによって、(殺害された男性の)遺体が金正男氏であることを確認した、と15日(水曜日)に発表しました。
しかし、先週の金曜日には、マレーシアは公式に正男氏の身元確認ができており、正男氏の近親者からDNAサンプルを手に入れたかどうかについての説明を拒んでいました。
その理由について、ハリド・アブー・バカール警察著庁は、その時は『証人の安全保障』について懸念があったため、詳細を明らかにすることができなかった、と言っています。
という事は、現在は、証人の安全保障に関する懸念はなくなった、とういことになります。
DNAサンプルを提供した子供は?
おそらく、金漢率(キム・ハンソル)氏ではないかと思われます。
マレーシア当局は2月に、北朝鮮に対して金正男氏の家族のDNAサンプルを提供するよう要望していました。
北朝鮮は、マレーシアで殺害された男性がキム・チョル(Kim Chol)名義のパスポートを持っていたことから、その男性が金正男氏であるとは認めておらず、もちろんDNAサンプルの提供もしていません。
金正男氏の子供がマレーシアまで出向いて、DNAサンプルを提供したとは思えません。たとえ護衛が付いていたとしても危険すぎます。
となると、誰かがDNAアンプルを正男氏の子供から受け取り、マレーシアに届けたのではないかと、想像されます。
そのようなことができるのは、正男氏の妻や子供たちを保護している中国か、漢率氏のビデオを公開した “千里馬民間防衛” というグループ(中国の後ろ盾がある可能性もあります)だと、私はみています。
漢率氏のビデオが公開されたのが3月8日、DNAサンプルの提供を受けてマレーシアが正男氏の身元確認ができたのが3月10日(金曜日)。
これらの動きに関連があるとすれば、DNAサンプルの提供者は金漢率氏と考えても良いのではないでしょうか。
DNAサンプルはいつ提供された?
3月10日に、正男氏の身元確認ができたという事からすれば、マレーシアは少なくともその数日前にDNAサンプルを手に入れていたと思われます。
千里馬民間防衛は、マレーシアに漢率氏のDNAサンプルを提供すると同時に、漢率氏の動画の公開を行い、マレーシアの空港で殺害されたが男性が金正男氏であるということを強く訴えた。
と、このようにも考えられます。
まったくの的外れかもしれませんが、こう考えることもできると私は思っています。
北朝鮮はどうする?
これまで北朝鮮は、マレーシアによる金正男氏の検死結果をでっち上げとして、まったく認めていません。
今回のDNAによる身元確認についても、北朝鮮が殺害された男性が正男氏であると認めることはないでしょう。
正男氏の遺体引き取りについては、現在のところ家族からの申し出はありません。
おそらく、北朝鮮は自分たちの主張を押し通すために、正男氏の遺体を何としてでも手に入れようとすると思われます。
マレーシアと北朝鮮の外交関係が悪化する中、北朝鮮はどのような手段に出るのか、次の動きが注目されます。
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