三浦九段(三浦弘行; 42歳)が対局中にスマホを不正使用していたとされる事件が長引いています。
日本将棋連盟は、複数の棋士からの情報に基づいて調査や三浦九段からの聞き取り行い、三浦九段の年内の公式戦への出場停止処分をすでに決めていますが、三浦九段は不正はしていないと主張し続けていて、両者の見解に違いがあります。
三浦九段はスマホの将棋ソフトを使用した不正を行っていたのでしょうか?
日本将棋連盟は、なぜ本人が不正をしていないと主張しているのに早々と年内の公式戦出場の停止を決定したのでしょうか?
スマホの不正使用疑惑
なぜ三浦九段がスマホの不正使用していると疑われているのでしょうか?
三浦九段がスマホ不正使用を疑われている理由
三浦九段は、本人も言っていることですが、対局中に席を外すことが多い棋士です。
特に離席が多かったと指摘されている7月26日の対局については『体調がすぐれなかったので、休んでいた時間が長かった』とNHKのインタビューで説明をしています。
対局中に離席すること自体は何の問題もありません。
将棋の対局では、次の一手を考えるための持ち時間が与えられています。長い場合は、それぞれ9時間もの持ち時間が与えられることもあります。
持ち時間内であれば対局場を出て外出したりすることも自由にできます。加藤一二三九段は『コンビニや教会にいくのも自由』とインタビューに答えています。ただし、どこに居ても携帯電話の電源をオフにするというルールがあります。
では、なぜ三浦九段が不正利用を疑われているのでしょうか?
じつは、以前から三浦九段について離席中にスマホを使って不正をしているのではないか、と過去に対戦した棋士から指摘がありました。
一手ごとに離席を繰り返すという不自然さや、三浦九段の指し手がソフトの指し手と似ていたという棋士からの指摘も背景にあったようです。
つまり、離席しているあいだに “次の一手を決めるためにスマホを使っていたのではないか?” ということなのです。
日本将棋連盟が三浦九段の出場停止を決めた理由
このような不正疑惑に関して、10月11日の常務会の場で、日本将棋連盟が三浦九段から事情の聴き取りを行いました。
三浦九段の、疑惑は濡れ衣であり不正はしていないとの主張に対して、連盟は『対局中に長い時間にわたり離席するなど、不自然な点が多かったにもかかわらず、合理的な説明はなかった。連盟に対して休場届を出す意向が示されたにもかかわらず、提出されないのでやむを得ず出場停止処分にした』とのコメントを発表しました。
つまり、出場停止処分の表向きの理由は「休場届が提出されなかった」という事務手続き上の問題、としているのです。
しかし本当の理由はやはりスマホの不正利用だと思われます。
三浦九段の不正疑惑は8月頃から囁かれており、週刊誌や大手新聞社なども情報をつかんでいたようです。
三浦九段への処分の決定が、竜王戦の直前のタイミングになった理由を渡辺竜王はこう語っています。
竜王戦が始まってから疑惑が公になれば、シリーズは中断される可能性が高いと考えました。それだけでなく、タイトル戦を開催する各新聞社が“不正”を理由にスポンサー料の引き下げや、タイトル戦の中止を決めたら連盟自体の存続さえも危うくなると思ったのです。そんななかで最悪のシナリオは『疑惑を知りながら隠していたという事が発覚する事だ』と判断しました。
週刊文春
10月7日に渡辺竜王が日本将棋連盟理事の島朗九段(53歳)に事情説明を行い、10月10日に羽生善治三冠(46歳)、佐藤天彦名人(26歳)、将棋連盟会長の谷川浩九段(54歳)らトップ棋士7人が集まって極秘の会合が開かれ、出席者は渡辺竜王から説明を受けます。
説明を受けた出席者に、三浦九段が潔白であると主張する人はいなかったようです。つまり、全員が “クロ” あるいは “グレー” であると判断したようです。
そして翌日の10月11日、上で述べたように三浦九段への「事情聴取」が行われたのです。
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異なる見解・主張
三浦九段の主張
三浦九段は、当初から一貫して不正はしていない、濡れ衣であると主張しています。
決して不正はしていないので、処分を受けるいわれはない。対局中に絶対にソフトを使っていませんし、そもそもスマートフォンに分析ができる将棋ソフトが入っていません。
NHKのインタビュー
10月18日、三浦九段は所有するPC4台と、スマホにインストールされている全アプリのスナップショット画像を証拠として連盟に提出しました。
でも、PCやスマホから将棋ソフトをアンインストール(削除)することも可能であるため、この行動は潔白を証明するには少し弱い感じがします。
スマホの方は、スマホをそのものを調べればどんなアプリをインストールしたか、あるいは削除したかが分かります。画像の提出としたのには何か裏がありそうだと思うのは勘繰りすぎでしょうか。
また、停止処分の表向きの理由になっている休場届についてはこのように言っています。
竜王戦は将棋界最高峰の棋戦で挑戦するだけで大変な名誉だ。辞退するわけがない。
やましいことは全くないので出す必要はない。そういうことで休場届は提出しないと決めた。
NHKインタビュー
つまり、休場を連盟に申し出たこともなく、不必要だから出さなかった、という訳ですね。
日本将棋連盟の見解
これまでの三浦九段の行動や、過去の対局の指し手の分析から、日本将棋連盟は三浦九段がスマホの不正使用(将棋ソフトの使用)をしたのはほぼ間違いないと判断しているようです。
将棋ソフトの指し手と人間の考えた指し手が、どのくらい似るものなのか、私には良く分かりません。
しかし、比較を行った棋士が「間違いなくクロ」だと判断しているですから、将棋ソフトの不正使用はほぼ間違いないと結論づけられているようです。
まとめ
本記事では、三浦九段が対局中にスマホを不正利用したとされる疑惑について、
- なぜ三浦九段が不正を疑われているのか
- 日本将棋連盟はなぜ三浦九段を出場停止処分にしたのか
- 三浦九段、日本将棋連盟の主張の食い違い
についてご紹介しました。
三浦九段の言う事と、日本将棋連盟の見解とが、ことごとく食い違っています。
もし、三浦九段が不正をしていなかったら、厳しい処分を行った連盟の責任が大きく問われることになります。
反対に三浦九段が不正を行っていたら、プロの棋士としてたいへん恥ずかしいことをしたということだけでなく、その事実を嘘をついて隠そうとしたことになり、人としても恥ずかしいことです。
最終的にどのようなが出るのか、しばらく目が離せませんね。
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