福岡市で起きたタクシーの暴走事故について、警察から事故に関連した新たな情報が公表されました。
事故を起こしたタクシーの運転席には、フロアに市販のフロアマットが二重に敷かれていたと言うのです。
なぜ、フロアマットが二重に敷かれているのが車の暴走と関係があるのでしょうか?
二重のフロアマットの影響
フロアマットを敷く理由
多くのドライバーは運転席のフロアにマット敷いています。マットを敷く理由のほとんどは、車のフロアを汚したくないから、だと言われています。
車のフロアが直接汚れてしまうと掃除が面倒なのでマットを敷いて、汚れをマットで受け止めるようにしているのです。
汚れたマットは取り外して簡単に洗えますし、社内も直接汚れることは少なくなります。
純正のフロアマットが勧められる理由
自動車メーカーはフロアマット、特に運転席のマットは純正のものを勧めています。
運転席のフロアにはアクセルペダルやブレーキペダルなどが配置されており、フロア周りの形状が複雑です。しかも、車ごとに微妙に形状が異なっています。
このため、運転席のフロアにぴったりとフィットしたマットは、その車を作っている自動車メーカー純正のものが一番良いということなんです。
「ぴったりとフィット」したというのは、見た目のデザインだけでなく、アクセルペダルやブレーキペダルなどの操作時にマットと干渉しないということも含まれています。
マットが少し大きくてしわが寄っていたり、あるいは逆にマットが小さくて、マットの端が反りあがっていたりすると、ペダルに引っ掛かったりすることがあるんです。
つまり、安全性という面から見ても、純正のマットの方が良いと言えるわけです。
もちろん、市販のフロアマットの中にも車ごとのフロアに合ったデザインのものがあります。ただ、経験から言いますと、純正のモノより少々高いものが多い気がしますので、利用者は純正のものほど多くはないように思います。
二重にフロアマットを敷く理由
ドライバーの中には、もう一枚フロアマットを重ね、二重にして敷いている人がいます。
なぜ二重にするのでしょうか?
これは想像ですが、下に敷いたフロアマットが汚れることを避けたいのではないかと思われます。
実際に、昔、知人の車を運転することがあったのですが、運転席のマットは二重になっていました。その人の車は、シートやドア周りだけでなく、フロアさえもとても綺麗だったことを覚えています。
大昔、車に靴を脱いで乗るという “土禁” (土足禁止)を徹底している人たちがいましたが、気分的には似たようなものではないかと思います。
二重にしたフロアマットの危険性
マットの上に別のマットを重ねる場合、二枚目のマットは、多くの人はフロアの形に合った(価格の高い)マットを使用せず、市販の安価なものを使用することが多いようです。
安価であるため、車のフロアの形状に合っていなかったり、そもそもマットの上にマットを置くことを想定されておらず、ズレを防止するためのマット裏面の加工もあまり効かないため、位置の固定が難しくなります。
車への乗り降りや運転している最中にマットの位置がだんだんズレてしまうのです。
すると、どういう状態なるのか?
上の画像では、ブレークペダルとアクセルペダルの両方にマットが乗ってしまっています。下の画像では、アクセルペダルの上にマットが乗ってしまっています。
どちらも、この状態でブレーキを踏むと、アクセルまで踏んだ状態になってしまいます。
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タクシーの暴走も二重のフロアマットが原因?
暴走したタクシーも、二重にフロアマットを敷いていたことが警察から発表されています。
じゃあ、やっぱり、アクセルペダルにマットが乗っていて、ブレーキを踏んだらアクセルまで踏んだ状態になって、それで暴走したんじゃないの?
じつは、問題はそう簡単ではありません。
暴走した車はトヨタのプリウスという車種です。
プリウスは、ブレークとアクセルを踏んだときは、ブレーキを優先する仕組みが備わっているんです。
ブレーキ・オーバーライド・システム
トヨタは、2010年2月17日に、全車に「ブレーキ・オーバーライド・システム」を搭載すると発表しています。
2009~2010年に、アメリカをはじめとする国内外でトヨタ車の品質に関する問題が発生し、世界的な問題になりました。
トヨタは大規模なリコールを実施するとともに、品質に関する改善を行い、2010年にその経過報告の中で、今後作るトヨタ車すべてに「ブレーキ・オーバーライド・システム」を搭載することを明らかにしたのです。
ブレーキ・オーバーライド・システム(BOS)とは、簡単に言えば、アクセルとブレーキが同時に踏まれた場合、ブレーキを優先させるシステムです。
暴走したプリウスは2010年6月製と伝えられており、BOSが搭載されているか微妙な時期の製造であるためハッキリしたことは言えませんが、BOSの搭載車であれば、たとえ二重マットによりアクセルとブレークを同時に踏み込んだ状態になったとしても、「暴走」することはあり得ないことになります。
もちろん、BOSが何らかの理由で正常に動作していなかった可能性もあります。
暴走車にBOSが搭載されていれば、EDR(イベント・データ・レコーダ)も搭載されています。これは、航空機で言えば「ブラック・ボックス」のような機器で、事故が起きるまでの車の挙動(スピード、ハンドル操作、アクセル・ブレーキ操作、etc)が記録されており、これを解析すればBOSが正常に動作しなかったのか、あるいは他の原因なのかが分かります。
まとめ
福岡市のタクシー暴走による10人もの死傷者が出た事故について、警察から発表されたフロアマットが二重だったとのニュース関連して、
- なぜフロアマットが二重だと暴走事故につながるのか
- 事故を起こしたプリウスは本当に二重マットのせいで暴走したのか
- ブレーキ・オーバーライド・システムとは何か
についてご紹介しました。
現時点では、また本当の暴走原因は明らかにされていません。
解析に必要な情報(EDR)はすでに回収されているはずなので、はやく解析結果を公表してほしいと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
[…] 福岡のプリウス暴走も下に二重マットを敷いていたそうな https://topiclouds.net/society/runway-prius-due-to-double-mat/ […]
アクセル信号のループ発信のため、ブレーキ信号が割り込みできないのでは?
1日で正常判断なんておかしすぎる。横浜では何日かかるかわからないといっているのに。
トヨタの政治献金とCM料が正常の調査と報道を妨げている。