10月18日、タレントで映画監督の北野武監督(69歳)が、フランス政府からレジオンドヌール勲章オフィシエを受章することが発表されました。
この「レジオンドヌール勲章」、言葉はときどき聞きますがいったいどういう勲章だかあなたはご存知ですか?
一国の政府がくれる勲章だから、なんとなく “とてもありがたいモノ” って感じじゃないでしょうか?
今日の記事では、北野武監督の受章理由とともに、そもそもレジオンドヌール勲章とはどんな勲章なのか、これまでどんな日本人が受賞しているのか、についてご紹介します。
レジオンドヌール勲章とは?
レジオンドヌール勲章は、正式にはフランス語で「L’ordre national de la légion d’honneur」(ロルドル・ナショナル・ド・ラ・レジオン・ドヌール)と言います。なんだか舌を噛みそうな名前ですね。
一般には最後の「légion d’honneur」以外の部分を省略して「レジオンドヌール」勲章と呼んでいます。
全体を日本語に訳せば「名誉軍団国家」勲章、になります。
レジオンドヌール勲章の創設者とその内容
レジオンドヌール勲章は、あのナポレオン・ボナパルトによって1802年5月19日創設され、フランスへ「卓越した功績」のあった「軍人や市民」に与えられる、フランスの最高勲章です。
レジオンドヌール勲章の叙勲は、「ordre(オルドル=名誉騎士団)」への加入や昇進を意味するもので、そのしるしとして騎士団の記章「décoration(デコラシオン)」が贈られ、その着用が許されます。
ただし、名誉騎士団へ加入が必要なのはフランス人だけで、外国人が受章する場合は記章の贈呈のみとなります。
レジオンドヌール勲章の等級
レジオンドヌール勲章には5つの等級があります。上から順に次のようになります。
- 『グランクロワ』(Grand-Croix=大十字)
- 『グラントフィシエ』(Grand-Officier=大将校)
- 『コマンドゥール』(Commandeur=司令官)
- 『オフィシエ』(Officier=将校)
- 『シュヴァリエ』(Chevalier=騎士、勲爵士)
フランス人は、シュヴァリエから順にひとつずつ階級が上がっていきますが、名誉騎士団に加入しない外国人の場合は、功績次第でいきなり上位の等級の勲章が授与されることもあります。
たとえば、今回の北野武監督はオフィシエの受章ですから、シュヴァリエを飛ばしての受章となっています。
日本人の受章者
レジオンドヌール勲章はフランス人だけでなく、他国の元首、首相、政府の構成員、外交官、実業家、フランスに来訪した芸術家、その他フランスの利益に貢献した人物にも授与されます。
これまでレジオンドヌール勲章を受賞した日本人にはどんな人がいるのでしょうか? 階級ごとにおもだった人を見ていきましょう。
グラントフィシエ以上は、通常民間人に授与されることはありません。
グランクロワ | 皇族、伊藤博文 |
---|---|
グラントフィシエ | 中曽根康弘(元総理大臣)、鈴木俊一(元東京都知事)、豊田章一郎(トヨタ自動者名誉会長) |
民間人はコマンドゥールまでが授与され、「日仏間の経済、文化交流の発展への功労者等に与えられる」とされています。
コマンドゥール | 盛田昭夫(ソニー創業者)、大江健三郎(小説家)、舛添要一(元東京都知事) |
---|---|
オフィシエ | 豊田章夫(トヨタ自動車社長)、北野武(映画監督) |
シュヴァリエ | 安藤忠雄(建築家)、粟津正蔵(柔道家)、向井千秋(宇宙飛行士) |
どうでしょうか、意外な人もレジオンドヌール勲章を受章していることが分かりますね。
レジオンドヌール勲章が授与された外国籍の人は2005年までに約1500人もいるそうですが、そのうち1割が日本人だというから驚きです。
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北野武監督の受章理由とは?
叙勲を行う元フランス文化大臣のジャック・ラング氏は次のように語っています。
ビートたけしとも呼ばれている北野の大胆で独創的な創造性により生み出された作品が、芸術ジャンルの限界をやすやすと乗り越え、演劇・テレビ・映画・文学などの約束事を変革し、現代のアートシーンに影響を与えてきた。
さらに、
あらゆる形態の大衆芸術の発展への熱心な関わりによって、フランス、日本そして世界中で名を馳せた型にはまらない完全無欠のアーティストとして存在していることに、オマージュを捧げたい。
とも述べています。
内容を見ると、映画監督としてだけでなく、芸人としての活動に対しても大きな評価を与えていることがわかりますね。
まとめ
本記事では、
- レジオンドヌール勲章とはどういうものなのか
- 日本人の受章者にはどんな人がいるのか
- 北野監督の受章理由は何か
についてご紹介しました。
北野武監督は、フランス芸術文化勲章「シュヴァリエ」(1999年)、同「コマンドゥール」(2010年)を受章し、昨年には仏シャンパーニュ騎士団から「シャンベラン・ドヌール(名誉侍従)」を叙任され、とうとうフランス最高勲章まで受章してしまいました。
ツービートの頃から「たけちゃん」として親しんできた芸人さんが、世界でここまで評価されるようになるとは思ってもみませんでした。
これまで自分のやり方でやってきた数々のことで、私が今回このような栄誉を授かることになりたいへん驚いています。そして素直にうれしい気持ちでいっぱいです。これからも自分のスタイルを守りながら、さまざまな仕事に精進してまいります。
北野監督には受章に際してのコメント通りに、今後もますます頑張っていただきたいと思います。
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