4月28日、東京地裁は、「声優アイコ」と名乗る女性による連続昏睡事件で、昏睡強盗などの罪に問われていた無職の神いっき(じん いっき)(33歳)に対して、懲役10年の判決を言い渡しました。
事件は2013年10月から14年2月に、街で知り合った男性5人に睡眠薬を入った酒やドリンク剤を飲ませ、男性が気を失っている間に金品を奪っていた、と言うものです。
防犯カメラや市民からの情報で逮捕されたのは神いっきという「男性」でした。
このため、当初は男性が女装して犯行に及んだ事件として知られることになったのですが、逮捕後、神いっきは女性であることが判明します。さらに妊娠していており、公判中に出産をしていました。
謎の多い事件でしたが、神いっきの正体は何者なのか、出産した子供の父親は誰なのか、についてまとめてしました。
神いっき
神いっきの正体
「神いっき」という、この名前。宝塚にでもいそうで、とても本名のように思えませんよね。
調べてみると、
- 在日朝鮮人
- 本名は、豪葛代
という情報が見つかります。
それら情報の多くが、“神いっきは豪葛代(在日朝鮮人)である事が判明!” というような書き方がされているのですが、情報の出どころが明記されておらず、真偽のほどはわかりません。
仮に本当だとしたら「神いっき」は通名だということになりますね。
神いっきの性別は?
神いっきは女性です。
女性として生まれましたが、自身の認識としては男性なのです。トランスジェンダーだったのですね。手術により胸を切除していたほか男性ホルモンも打っていたといいます。
神いっきは自分のことを「俺」と呼び、近所では彼女を連れて歩いているところを目撃されているなど、ふだんは「男」として生活していたそうです。
神いっきの職業は?
神いっきは、「声優アイコ」を名乗り犯行に及んでいましたが「アイコ」は偽名で、もちろん神いっきは声優でもありません。
逮捕当時の職業は「無職」で、生活保護費を受け取りに来たところを保護されました。すでに警視庁から画像が公開されていたので、何か仕事をすること自体無理な状況だったのでしょう。
昏睡強盗をして金品を奪っていたことから、生活が経済的に困難な状況が続いていたのかもしれません。
神いっきと多重人格
いちばん理解しづらいのが、神いっきが解離性同一性障害、いわゆる多重人格であることではないでしょうか。
解離性同一性障害とは、簡単に言えば、ひとつの体に複数の人格が存在しており、それぞれ違った性別、性格を持っているというものです。人格はほかの人格の存在を知らないこともあり、自分が解離性同一性障害であることに気づかない場合もあります。
解離性同一性障害では、ビリー・ミリガンという24もの人格を持った米国の男性が有名で、ダニエル・キイスの『24人のビリー・ミリガン』という本で彼のことを知っている人も多いと思います。
今回の昏睡強盗事件を追ってきた写真家のインベカヲリ★氏のレポート(「新潮45」5月号)によれば、神いっきには公判中に現れた4歳の男児「ゲンキ」ほか、これまでに30人の人格が現れ、今も15人もの人格がいると言います。
これまでの報道等で分かっているだけでも、
- 神いっき(主人格?)
- ミサキ(「アイコ」を名乗り犯行を行う)
- ゲンキ
がおり、これだけでも頭が混乱しそうです。
神いっきは、自分が性同一性障害であることは認識していましたが、解離性同一性障害であるという意識はなかったようです。
小さな頃から度々記憶をなくしたり、時間の流れが速く感じられることがあり、大人になっても身に覚えのない強盗未遂事件で逮捕されたことがあるという。(news.livedoor.com/article/detail/12975924)
はっきり表れたのは留置場の中だったということです。
今回の裁判では、弁護側は、神いっきは解離性同一性障害で犯行は別人格によるもの、として無罪を主張してきました。しかし、東京地裁は「普通の人格による犯行」として懲役10年を言い渡しています。
出産したこどもの父親は?
公判途中で妊娠していることが分かり、出産していた神いっきですが、相手はいったい誰なのでしょう?
自分自身を男と認識しており、普段も男性として生活をしている神いっきには妊娠の機会が無いように思えますが…
週刊文春によれば、“本人の供述によると、どうも昏睡状態のなかで、無理矢理、男性に関係を迫られた『昏睡強姦』が原因らしい” とのこと。
また、J-CASTテレビウォッチは “どうして妊娠したのかまったく記憶にない。もしかしたら人格が変わっていたのかもしれません” という神いっきの言葉を伝えています。
どちらにしても父親が誰なのかはっきりとは分からない状態のようです。ちなみに、生まれた子どもは女の子だったそうです。
神いっきは日本の「ビリー・ミリガン」なのか
米国のビリー・ミリガンは、強盗強姦事件を起こして逮捕されたり、解離性同一性障害と分かってからも適切な治療が受けられなかったりと、決して幸せな人生とは言えない一生でした。
神いっきはどうでしょうか?
日本では、まだ解離性同一性障害についての理解が十分に進んでいないように思え、今回の判決が適切なものであったか疑問に思う人もいるかもしれません。
一方で、神いっきは解離性同一性障害ではなく、一連の言動は罪を逃れるための狂言ではないか、との見方もあります。
神いっきは日本の「ビリー・ミリガン」なのでしょうか?
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