上高地には、小梨平、徳沢、横尾のそれぞれにキャンプ場があります。どのキャンプ場を利用しても、豊かな自然の中の素晴らしいキャンプを体験することができます。
本記事では、それぞれのキャンプ場の特徴や利用方法、および管理人のおすすめするキャンプ場について書いています。
また、いま人気が高まりつつある「手ぶらでキャンプ」が上高地ではどこでできるのか、さらに上高地でのキャンプでよく聞かれる質問に対する回答も用意しました。
小梨平キャンプ場
特徴
小梨平キャンプ場は河童橋から徒歩5分ほどのところにあるキャンプ場です。
梓川に近いキャンプサイトからは、間近に迫った穂高の山々を眺めることができます。朝や夕方など、陽の光によって刻々と表情の変わる山肌は観ていて飽きることがありません。
- キャンプサイトは、カラマツ林の中や梓川沿いなど、いくつかのエリアに分かれています。
- トイレ、炊飯棟(炊事場)、売店、食堂、入浴場など施設が充実しています。
- 常設テントがあり、キャンプ道具のレンタルも利用できるため、手ぶらでやって来てキャンプを楽しむこともできます。
場所
キャンプの受付をする事務所は、河童橋から200mほどのカラマツ林の中にあります。
梓川の左岸の道を川上に向かって、清水川にかかる小さな橋を渡り、ビジターセンターの横を過ぎ、公衆トイレの前を過ぎてしばらく行くと、やがて少し開けたところに出ます。
道の左側に「小梨平食堂」と書かれた案内版があるところ左に入っていくと食堂と事務所があります。
利用方法
テントを持参する場合は予約は不要です。小梨平に到着したら、森のリゾート小梨事務所で受付をしてください。
常設テントを利用する場合には事前に予約が必要です。電話またはメールフォームから予約してください。
持参テント | 幕営数 | 約200張 |
予約不要 | 受付 06:00〜18:00 | |
料金(1泊) | 大人 1,300円 小学生 800円 未就学児 無料 | |
日帰り利用 | 500円/日 | |
常設テント | 幕営数 | 6張 |
要予約 | 電話またはメールフォーム | |
料金 | 8,000円 or 10,000円(4名迄) ※繁忙期は高くなります |
注意点
- 焚き火、バーベキュー、キャンプファイヤーはできません。
- すぐに使わない飲み物や食料品、ゴミは、テント内やその周辺に置きっぱなしにしないでください。
- 飲み物や食料品はキャンプ場内に設置されている鉄製の食料コンテナに、ゴミも食料コンテナ内のゴミ箱に入れてください。
徳沢キャンプ場
特徴
徳沢キャンプ場はハルニレの木が点在する明るく開放感のある草地です。
キャンプサイトの美しさから、近年はキャンプの目的で徳沢までやってくる人も増え、ハイシーズンには広いキャンプ場のほとんどが色とりどりのテントで埋められるほどの人気があります。
キャンパー以外にも徳沢をベースに活動する登山者も多く利用しています。
場所
河童橋から徳沢キャンプ場までは、約7km、時間にして1時間半〜2時間くらいかかります。
道は、歩くのに困難なほどのアップダウンはありませんが、かなりの距離があります。テントを持参する場合、マット、シュラフ、食料など、多くの荷物を運ぶことになりますのでそれなりの体力が必要です(帰りの体力のことも考えましょう)。
河童橋方面から歩いてくると徳沢キャンプ場の手前で道が二手に分かれており、真っ直ぐ行くと徳沢園、右に行くと徳沢ロッジに着きます。
利用方法
持ち込みテントの場合は予約は不要です。徳沢に到着したら、テントを設営する前に徳沢園で受付を行ってください。
持ち込みテント | 幕営数 | 約250張 |
予約 | 不要 | |
料金(1日) | 大人 1,500円 小人(小学生まで)1,000円 三歳児以下 無料 空天代 1,000円 | |
日帰り利用 | 500円/日 |
上記表の「空天代」とは、テントを張ったまま山行し、翌日以降に戻ってくる場合の料金です。テントをキャンプ場に置いておくのにかかる料金と思えば良いでしょう。
キャンプサイトに水場と公衆トイレがあります。
テントのほか、テントマットやシュラフのレンタルが利用でき、こちらから利用の申込みができます。このレンタルは、ぶらキャンとは別のサービスです。ぶらキャンについてはこちらで解説しています。
予約をしておけば、夕食を「みちくさ食堂」で用意してもらえます(予約は当日でもOK。17:00までに要予約)。
入浴は徳沢ロッジの外来入浴が利用できます(有料 1,000円)。
注意点
- キャンプの受付は現地で行いますが、こちらから「徳沢キャンプ場受付用紙」をダウンロード・印刷し、必要なことを書き込んで受付を行ってください。
- キャンパー向けに食材の販売は行っていません。
- 焚き火はできません。
- ゴミはすべて持ち帰る必要があります。
横尾野営場
特徴
「上高地」と呼ばれるエリアの中で最奥部に位置する横尾には横尾野営場という名前のキャンプ場があります。
目の前に前穂高岳が圧倒的な迫力で見えるこのキャンプ場は、もうほとんど「山」の中と言っても良い場所にあります。
横尾は涸沢、槍ヶ岳、蝶ヶ岳方面への分岐点に位置することから、利用書もほとんどが登山者と言って良いでしょう。
上高地からかなり遠いこと、利用できる施設は最低限であることから、キャンプ目的で出かけるにはそれなりの覚悟が必要です。
場所
上高地から横尾幕営場までは約11km、約3時間の距離があります。 徳沢から横尾までの道もほぼ平坦で、歩くのに難しいところはありません。
テントは避難小屋の前と横尾大橋の下の2つのエリアに張ることができます。どちらも平坦でテントの設営に困ることはないでしょう。
利用方法
利用にあたって予約は不要です。横尾山荘売店で受付をして、指定された場所にテントを張ります。
持ち込みテント | 幕営数 | 約150張 |
予約 | 不要 | |
料金(1日) | 大人 2,000円 小学生 1,000円 |
利用できる施設は、給水施設、トイレ(チップ制)、売店のみです。トイレの利用料(チップ)はテントの料金に含まれていますので、その都度チップを払わなくても大丈夫です。
注意点
- キャンプ道具等のレンタルはありません。
- 食材の販売はありません(売店で飲み物やお菓子を購入することはできます)。
- 山荘に入浴施設はありますが、山荘の宿泊者のみ利用可能で、テント宿泊者は利用できません。
- バーベキュー、キャンプファイヤーはできません。
- 持ち込んだゴミはすべて持ち帰る必要があります。
- 山荘で夕食等の食事をすることはできません。
- 山荘で荷物の預かりは行っていません。
おすすめは小梨平キャンプ場
どのくらいキャンプの経験があるかや、どんなキャンプがしたいのかによって、おすすめできるキャンプ場は異なってきます。ここでは「キャンプはまだ初心者」で「上高地でのキャンプは初めて」という人を対象に小梨平キャンプ場をおすすめします。
その理由を説明しましょう。
初心者であれば、重いキャンプ道具一式を持って、キャンプ場まで長時間歩くのは辛いと感じることも多いでしょう。小梨平であれば、バスターミナルから徒歩で約10分ほど(約800m)です。
自然を守る国立公園内でのキャンプなので、ある程度の「不便さ」は仕方ありません。その不便さを補ってくれる、あるいは解消してくれる施設が利用できるというのは(たとえ利用することが無いとしても)心強いものです。
小梨平周辺の散策路を歩いて上高地の自然に触れることができます。多くの散策路がありますので、連泊する場合には毎日異なったコースを歩くこともできます。より深く上高地について知りたければ、ビジターセンターのガイドウォークを利用することもできます。
ご存知の人もいると思いますが、小梨平のキャンプ場で、キャンパーがクマに襲われるという事件が2020年にありました。
現在、小梨平キャンプ場では、クマによる被害を再び出さないために、テントサイトにおける食料とゴミの管理を徹底するようキャンパーに協力を求めています。
キャンプ場利用の受付の際に、説明を受けると思いますがぜひ協力をお願いいたします。
上高地は手ぶらでキャンプできる?
上高地で「手ぶらでキャンプ」を謳っているキャンプ場として、小梨平キャンプ場と徳沢キャンプ場があります。
小梨平キャンプ場
小梨平キャンプ場では、テントを始めキャンプで必要なモノのすべてがレンタルできます。貸し出し品の一覧はは こちら から確認することができます。
ただし、貸し出し品は事前の予約を行うことができません。当日、現地に行ってから借りることになりますので、数に限りのあるものは借りられない場合もあることに注意してください。
また食材についても、キャンプ場内の森のリゾート小梨売店で、豚肉、牛肉、各種野菜、キノコ類、調味料、ルー、タレ、油等などが購入できます。
食材を持って上高地まで出かけなくても、メニューだけ決めておけば、現地で食材を調達し料理ができてしまいます(ただし、必要な食材があるかどうかは事前に確認しておく必要がありそうです)。
必要なものを個別にレンタルしたり購入したりするのが苦にならないのであれば、小梨平キャンプ場で手ぶらキャンプは選択肢のひとつとなると思います。
徳沢キャンプ場(ぶらキャン)
徳沢園が提案している「ほぼ手ぶらでキャンプ ぶらキャン in TOKUSAWA」というものがあります。
予約をして現地まで体を運べば、あとはほぼすべてが用意されており、徳沢で本格的な山岳キャンプが楽しめる、という訳です。
“自分でキャンプ道具を揃えたり、食事のメニューを考えたり、というのは面倒だ。でも上高地でキャンプはしてみたい”という人にはなかなか嬉しいサービスかもしれません。
> 徳沢園 ぶらキャンサイトは こちら
上高地のキャンプ Q&A
キャンプ場へ車で乗り入れることはできる?
上高地へ車での乗り入れることができないため、キャンプ場への乗り入れもできません。
上高地のキャンプに車で行く場合は、沢渡またはあかんだなの駐車場車を置き、すべてのキャンプ道具を持って、シャトルバスまたはタクシーで上高地(バスターミナル)に入ります。
上高地バスターミナルからは、キャンプ道具を持って徒歩でキャンプ地まで移動します。
予約不要なキャンプ場は?
持ち込みテントの場合、上高地にある3つのキャンプ場(小梨平キャンプ場、徳沢キャンプ場、横尾野営場)はいずれも予約が不要です。
小梨平キャンプ場の常設テントや徳沢園のぶらキャンを利用する場合には予約が必要です。
持ち込みテント: 自分のテントを持っていくこと
キャンプ場にコテージはある?
残念ながら上高地にコテージのあるキャンプ場はありません。
コテージほど設備は充実していませんが、ケビン(キャビン)であれば、小梨平キャンプ場にあります(要予約)。
焚き火のできるキャンプ場はある?
上高地のキャンプ場はいずれも焚き火は禁止されています。
上高地は国立公園内であるため、いずれのキャンプ場も火の扱いは厳しく制限されており、バーベキューやキャンプファイヤーもできません。
炊事のためには、炊事場(炊飯棟:小梨平キャンプ場)を利用するか、持参したバーナーありはレンタルしたバーナーを使用します。
上高地のキャンプ場の標高はどのくらい?
キャンプ場の標高はそれぞれ次の通りです(国土地理院の地図で求めた数値です)。
キャンプ場 | 標高 |
---|---|
小梨平キャンプ場 | 1,505m |
徳沢キャンプ場 | 1,560m |
横尾野営場 | 1,616m |
まとめ
本記事では、上高地の3つのキャンプ場、小梨平キャンプ場、徳沢キャンプ場、横尾野営場について、それぞれの特徴や場所、利用方法について解説しました。
また、初心者キャンパーさんへのおすすめのキャンプ場として、小梨平キャンプ場を取り上げました。
重たいキャンプ道具を持たずに「手ぶらでキャンプ」できるキャンプ場として、小梨平キャンプ場と徳沢キャンプ場(ぶらキャン)も取り上げました。
あなたの上高地でのキャンプに、本記事が少しでもお役にたてればと思います。
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