「2014 JO25」と呼ばれる小惑星が地球にかなり接近することが話題になっていますね。
この小惑星の接近に関して “衝突の可能性は?”、“極めて危険な” などと煽るようなタイトルの記事も見かけますが、実際のところはどうなんでしょう?
かなり地球に近づくことから、家庭にあるような小さな望遠鏡でも見ることができるとの情報もあり、天文ファンにはちょっとしたイベントになりそうです。
本記事では、「2014 JO25」とはどんな小惑星なのか、最接近時に観測するにはいつどの方角を観れば良いのか、についてご紹介したいと思います。
小惑星「2014 JO25」
小惑星「2014 JO25」とは?
小惑星「2014 JO25」は、3年ほど前の2014年5月にカタリナ・スカイ・サーベイ(Catalina Sky Survey)によって発見されました。カタリナ・スカイ・サーベイとは、アリゾナ大学の月惑星研究所 (LPL) が組織的に行っている全天サーベイのことで、地球近傍天体 (NEO) の捜索を主な目的としています。
地球近傍天体(NEO)とは地球の軌道に接近する天体のことで、「2014 JO25」はNEOの中でもアポロ群と呼ばれるグループに属しています。
アポロ群の天体は地球の軌道を横切ることもあり、ときには地球に非常に接近することもあるため要注意です。
上の図の緑の領域がアポロ群の軌道で、青い線が地球の軌道です。地球の軌道はアポロ群の軌道に含まれていることが分かると思います。
ちなみに、はやぶさが探査に行った「イトカワ」もこのアポロ群に属しています。
小惑星「2014 JO25」の今回の接近について
NASAの発表によると、今回の「2014 JO25」の接近は、地球から180万Kmまで近づくとのことで、これは地球と月の距離の約4.6倍に相当します。
もちろん、衝突の危険などはなく、私たちの生活には何の影響もない訳ですが、このサイズの小惑星としてはかなり近い位置まで近づくということです。下は、NASAが公開している、地球に近づく「2014 JO25」のシミュレーション動画です。意外に、遠くを通過していますね。
「2014 JO25」は直径650mと見積もられており、これは2013年2月にロシアのチェリャビンスク(Chelyabinsk)に落下した隕石の約60倍もの大きさです。
「2014 JO25」の、今回の接近は過去400年で最も地球に近づくもので、また今後500年をみてもこれほど近づくことはない、ということです。「2014 JO25」については、地球に落下することをしばらく心配しなくても良いようですね。
「2014 JO25」の観測
「2014 JO25」は4月19日の21時24分(日本時間)に、地球に最接近するわけですが、日本で観測できるでしょうか?
予報によれば、11等級くらいに明るくなるとのことなので、望遠鏡を持っている人は挑戦してみると良いかもしれません。
見える方角と時間
最接近が4月19日21時24分なので、この前後を狙うのが良いでしょう。下は、22時の「2014 JO25」の見える方角と位置になります(クリックすると拡大します)。
高度も十分にあり、また月明かりにも邪魔されないため、条件としては良いと思います。
さらに、「2014 JO25」の付近を拡大したのが下の図です(クリックすると拡大します)。
こちらも22時の位置を示しています。
注意したいのが、地球に最接近した「2014 JO25」は、月の直径を18分で横切るほどのスピード空を移動していきます。
ここに示した「2014 JO25」の位置は、NASAのデータベースから取得した軌道要素を元に計算し、Mitaka上に表示したものですが、22時から離れた時間の「2014 JO25」の位置はだいぶ異なった位置に見えますし、計算の結果が必ずしも正しいとはかぎりません。
あくまで参考ということでお願いします。
観測に適した場所は?
晴れていれば、日本のどこでも見ることができます。
見える方角としては北東側となるので、この方角に高い建物や明るく光を放つものが無い場所を選ぶと良いと思います。
「2014 JO25」の明るさは11等級と予測されているので、それほど明るいわけではありません。できれば街中ではなく、郊外での観測をお勧めします。
天気が良ければ…
4月19日の天気予報は、全国的に晴れのところが多いようです。
小惑星の接近というちょっとマイナーな「天体ショー」ですし、天体望遠鏡が必要となるため、どなたにも楽しめるという訳には行かなさそうです。
でも、天文ファンを自認する方はぜひ見ておきたいですね。これを見逃すと、次回は500年以上さきですから。
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