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水素水に健康効果はない?国民生活センター調査結果のまとめ

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健康ブームに支えられて「水素水」が近年注目を集めています。

最近では、有名芸能人の結婚式の引き出物として水素水を生成する機械が使われていたことが話題を集めていましたね。

12月15日、独立行政法人の国民生活センターから、いわゆる「水素水」について、そのまま飲用できる商品や、「水素水」の生成を行う機器に対して行なわれた調査の結果が発表されました。

この発表を受けて、ネット上では “水素水には効果がない” とか “水素水はただの水だった” などのニュースが飛び交っていますが、これは本当でしょうか?

国民生活センターの発表内容とこのようなニュースが伝える内容の間に、若干の食い違い(あるいは焦点を当てている内容に違い)が見られるように思えます。

本記事では、国民生活センターの発表について解説し、ニュースで伝えられる内容との違いについても触れていきます。

目次

水素水とは?

今さら感がありますが、「水素水」とは何でしょうか?

水素が入ってる水

あなたを含め、多くの方はこのように思っていると思います。

実は「水素水」には公的な定義というものが存在しません。これを満たしていれば「水素水」と呼ぶことができます、という条件が公的には存在していないのです。

どんな水を水素水と呼ぶかは、水素水や水素水を生成する機器を販売するメーカー次第なのです。「言ったもん勝ち」と言っても良いかもしれません。

「水素水」なのですから、水素が入っているのは当たり前、と思うかもしれませんが、後に述べるようにそうでもない商品があったりするのです。

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国民生活センターによる水素水の調査

調査の目的

「水素水」ブームもあって、多くの水素水飲料や水素水生成器が販売されています。

そのため、飲用する水素水に関する相談が年々増加しており、PIO-NET(※パイオネット)に寄せられた相談は2011年以降で2260件にも達しています。

PIO-NET(パイオネット)

全国消費生活情報ネットワークシステムのことで、国民生活センターと全国の消費生活センター等をオンラインネットワークで結び、消費生活に関する相談情報を蓄積しているデータベースのことです。

このような状況に対応するため、国民生活センターは、飲用水として販売されている水素水と、飲用の水素水を作る水素水生成器について、以下の調査を行い結果をまとめました。

  • 商品にどのような表示が書かれているか?
  • 商品の広告にはどのようなことが書かれているか?
  • 商品に水素はどのくらい含まれているのか?
  • 商品を販売する事業者へのアンケート

よくご覧になっていただきたいのですが、水素水の効果については調査の対象となっていません

国民生活センターの発表と水素水の効果に関するニュースとの関連については後で触れたいと思います。

調査の結果

ここでは、国民生活センターによる調査の結果のまとめをご紹介します。

対象となった個々の商品について調査結果の詳細を知りたい方は、国民生活センターページにあるPDFファイルを参照してください。

なお、調査の対象となった商品は以下の通りです。

容器入り水素水

容器入り商品


 
水素水生成器

水素水生成器


 

水素水には公的な定義がなく溶存水素濃度もさまざまです

先に触れましたが、「水素水」には公的な定義がないため、溶存水素濃度(溶け込んでいる水素の濃さ)も様々です。

とくにテスト対象となったペットボトルの水素水は、メーカーによると製造方法が他の商品と異なっているとのことで、開封したときに溶存水素(水素ガス)は検出されていません。

水素生成器で作る水では、水素以外に酸素も含まれるというものや、水がアルカリ性となるものもあります。

トクホや機能性表示食品として許可、届出されたものはありません

水素水をうたう商品に、特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品として許可、届出されたものは、現在のところありません。

商品の説明に、なんらかの効果があると書かれているものは、法律に抵触している場合があります。これは、実際にその商品に効果があるかないかとは無関係で、効果や効能があると書くためには、許可や届け出が法律上必要である、ということなのです。

パッケージに表示の水素濃度は飲むときのものではない

容器入り水素水のパッケージに溶存水素濃度が充填時または出荷時と記載されている場合、飲む時の濃度は異なっています。多くの場合、飲むときの方が濃度は下がっています。

未開封のまま1か月保存した場合はさらに濃度が下がっていました。

水素生成器で作った水に含まれる水素も、取扱説明書に書かれた値よりも低い濃度でした。これは、水質や水量にも関係しているためで、必ずしも説明書通りの値にはなりません。

水素水に溶け込んでいる水素ガスは抜けていきます

容器入りの水素水も水素水生成器で作った水も、開封後あるいは生成後から徐々に水素が抜けていきます。

容器入りでは、開封後にふたを閉めても、5時間後には30~60%、24時間後に10%にまで水素濃度が下がってしまいました。

生成した水素水も、別のコップに移して放置しておくと、1時間でもとの50~60%に水素濃度が低下しました。

水素濃度を考えたとき、開封後や生成後は速やかに飲み切る、のが一番良いようです。

もし飲みきれないときは、アルミパウチの容器入りの場合は、空気を抜いてしっかりふたを閉めると、濃度の低下がいくぶん防げるようです。

水素水に期待できる効果

事業者に飲用により期待できる効果をアンケートした結果、一番多い回答は「水分補給」でした(笑)。

その他、「ダイエット」、「疲労回復」、「美容」、「アンチエイジング」をあげた事業者もいました。ただし、医薬品医療機器等法により効果の表示はできないため、表示を控えていると回答した事業者もいました。

で、水素水は健康効果があるの?ないの?

これまで示したように、国民生活センターの調査には、水素水の効果に関する調査は含まれていません。

では、なぜ国民生活センターの発表に伴うニュースで、水素水の効果を否定するようなものが多く流れたのでしょうか?

理由のひとつには、事業者へのアンケートにもあったように、法律上効果をうたうことができないため、無難な回答としてあげた(と思われる)「水分補給」という回答が、事業者自身が効果を信じていないんじゃないか、と受け取られていることです。

さらにもうひとつの理由として考えられるのが、国民生活センターの発表の資料の中で引用している水素水の効果に関する資料です。

調査報告の中で、導入部にあたる「3.水素水について」に次のような記述があります。少し長いですが引用します。

水素水の効果については、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所の「『健康食品』の安全性・有効性情報」(注4)に、「俗に、『活性酸素を除去する』『がんを予防する』『ダイエット効果がある』などと言われているが、ヒトでの有効性について信頼できる十分なデータが見当たらない。現時点における水素水のヒトにおける有効性や安全性の検討は、ほとんどが疾病を有する患者を対象に実施された予備的研究であり、それらの研究結果は、健康な人が市販の多様な水素水の製品を摂取した時の有効性を示す根拠になるとはいえない。水素分子(水素ガス)は腸内細菌によって体内でも産生されており、その産生量は食物繊維などの摂取によって高まるとの報告がある。従って、市販の多様な水素水の製品を摂取した水素分子の効果については、体内で産生されている量も考慮すべきとの考え方がある。」との記載があります。
(注4)http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail3259.html

この部分は、国民生活センターの調査結果ではなく、資料として引用しているだけなのですが、ここで示されている水素水の効果に対する見解と、先の事業者のアンケート結果とが結び付けられ、広く報道されているような “水素水はただの水だった”的なニュースとなっているように思われます。

まとめ

国民生活センターが発表した水素水に関する発表について、その内容についてのまとめと、水素水に効果に否定的なニュースとの関連について解説してみました。

私の知人は、水道の蛇口につなぐタイプの水素水生成装置を、給料の数倍もの値段で売り付けられそうになりました。

かなり強引に売り付けられそうになったというその話を聞いて、私は「水素水」という言葉を聞くと脊髄反射的に「怪しい」と思ってしまいます。

知人の例は特殊な例だったと思いますが、水素水の実際の効果については半信半疑というところです。

研究が進み、効果について確かな結論がでるといいな、と思っています。

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