2月2日、JASRAC(日本音楽著作権協会)が、いわゆる音楽教室で使用される楽曲を著作権料徴収の対象とすることを発表しましたが、このことに対して音楽教室が強く反発しています。
自分が楽しむためにCDやiTunes Storeで音楽を買ったり、人に心地よさを提供するために店舗で音楽を流す場合に、著作権料を支払うというのは理解できます。
しかし、私のような素人でも、音楽教室で楽器の演奏や歌を教えるのに使用される曲が、著作権料の徴収の対象となるのは、ナンカ変だなと感じます。
どうして、JASRACは音楽教室で使用する楽曲から著作権料を徴収するのでしょうか? JASRACが赤字で経営が苦しいから?
きょうはこんな疑問に迫ってみたいと思います。
JASRACが音楽教室から著作権料を取る理由
そもそもJASRACって何をしてるの?
ときどき楽曲の著作権関係のニュースなどで目にするJASRAC(日本音楽著作権協会)って何をしているんでしょうか?
簡単に言うと、作曲家や作詞家、音楽出版社から委託を受けて、音楽を利用する人に対して利用許諾、利用料の徴収、著作権侵害の監視や著作権を守るための業務を行っています。
JASRACは作曲家などの著作権者に代わって著作権に関する様々な業務を代行し、その代わりに著作権料の一部を手数料として受け取っているのです。
このような業務を行う団体や企業のことを音楽著作権管理事業者と言い、JASRAC以外にも、NexTone(ネクストーン)、ダイキサウンドなどの事業者があります。
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なんで音楽教室から著作権料を徴収するの?
それは徴収する著作権料を維持するため、だと思われます。
近年、音楽離れが進んでおり、何もしなければ徴収できる著作権料は減る一方になってしまいます。
そのため、JASRACは著作権料を徴収する対象を増やすことで、徴収料を減らさないよう努力しているわけです。
これまでに、新たに徴収と対象とされたもには次のようなものがあります。
- 1987年には、スナックでのカラオケ
- 2011年には、フィットネスクラブのBGM
- 2012年からはカルチャークラブ(楽器の講座も含む)
過去10年間の徴収額は次のようになっています。
2011年までずっと下がる一方だったのが、翌年からやや持ち直しているのが分かると思います。これは、徴収対象を広げた効果が出ていると思って良いでしょう。
JASRACは、一般の会社と違い利益を上げることを目的とした団体ではありませんが、運営していくためには著作権料徴収に関わる手数料などによる、ある一定以上の「収入」は必要なのです。
今回の音楽教室からの徴収も、この延長線上と考えて良いと思います。
JASRACが「赤字」であるという情報はありません。もしそうなら、もっと過激に徴収料を増やしにかかると思っています。
反発している音楽教室
今回の音楽教室での楽曲の使用が著作権料の徴収対象とするJASRACの方針に、音楽教室側は強く反発しています。
2月3日には、次の7企業・団体が「音楽教育を守る会」を結成し、徴収に対する活動をしていくとしています。
- ヤマハ音楽振興会
- 河合楽器製作所
- 全日本ピアノ指導者教会
- 開進堂楽器
- 島村楽器
- 宮地商会
- 山野楽器
代表に就任したヤマハ音楽振興会の三木渡常務理事は「教室を運営する事業者に広く参加を呼びかけ、教室での演奏は教育目的で演奏権は及ばないという法解釈を共有していきたい。JASRACと主張が平行線をたどる場合は、司法判断を求めることも検討したい」と述べています。
私自身は、音楽教室に通ったことはなくもっぱら聞く方専門ですが、「音楽教育を守る会」を応援したいですね。
まとめ
本記事では、JASRACはなぜ音楽教室から著作権料の徴収を行うのか、について調査してみましたがいかがでしたでしょうか。
楽器を演奏したり、歌を歌ったりして音楽を楽しむ人たちが減ってしまうことの無いよう、JASRACには音楽教室への配慮をしていただきたいと思います。
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