ドゥトルテ大統領はなぜ国民に人気がある?なぜアメリカが嫌い?

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10月25日に来日し3日間の日程を終えて帰国したフィリピンのドゥテルテ大統領(71歳)。

親日家であるとも伝えられており、来日中はいつもの過激発言は飛び出しませんでした。

しかし、これまで過激な発言を繰り返し「フィリピンのトランプ」などとも言われているドゥテルテ大統領は、国際社会から警戒されています。

とりわけ、オバマ大統領を個人攻撃してみたり、同盟関係を一方的に破棄するかのような発言をしたことから、アメリカはドゥテルテ大統領に対して強い不信感を抱き始めています。

また、国内の犯罪撲滅のために手段を選ばないドゥテルテ大統領のやり方は、国際的な人権団体や国連関係者からも批判の声が上がっています。

このように国際社会においては何かとお騒がせなドゥテルテ大統領ですが、フィリピン国内においては最近の支持率が90%を超えるほどの支持を得ています。

国際社会の問題児とも言えるドゥテルテ大統領が、なぜ国内においてこんなに高い支持を得ているのでしょう?

また、なぜアメリカをそんなに毛嫌いするのでしょうか?

目次

ドゥテルテ大統領の人気の理由

ドゥテルテ大統領は、なぜフィリピン国民から絶大なる支持を得ているのでしょう?

それはドゥテルテ大統領が有言実行の人だからです。

彼は大統領選挙の時に犯罪の撲滅を公約として掲げていました。そして、彼は大統領になると過激ともいえる方法でその実現のため行動を起こします。

違法薬物と汚職

フィリピン社会の大きな問題と言えば、違法薬物と汚職です。

彼はこの問題に真正面から取り組んで実際に成果を上げているから、国民に支持されているのです。

ドゥテルテ大統領以前から、違法薬物の取り締まりは司法手続きにしたがって行われきていましたが、残念ながらほとんど成果が上がっていませんでした。

なぜなら、警察自体が違法薬物の取引に関わっていたり、地方の政治家の関与が噂されている現状あるからです。

取り締まる側がこれでは、問題の解決なんて望めませんよね?

ドゥテルテ大統領のやり方

このような現状に対して、ドゥテルテ大統領がとったのは司法手続き無視の実力行使です。

違法薬物の密売人は裁判にかけることなく殺害し始めたのです。

フィリピン国家警察の発表によると、ドゥテルテ氏が大統領になってからの2か月で約2400人の密売人が殺害されているということです。

密売人であると思われる人物を見つけ次第、その場で射殺です。

そんな無茶なと思いますよね?

実際に、違法薬物とは何の関係もない市民が、密売人と間違われ殺されてしまった例もあるようです。

取り締まりの対象は、違法薬物取引の末端である密売人だけにとどまりません。

違法薬物の取引に関与している警察官、地方政治家、裁判所の判事、軍人など約150人の個人名のリストを公開し、出頭しない場合は命の保証はしない、として自首を促したのです。

そんな人も違法薬物の取引に関与しているのか?と驚きますが、密売人たちがどういう目に遭っているかを目の当たりにしている人たちですから、その効果はとても大きいでしょう。

このように、ドゥテルテ大統領は、違法薬物とそれに絡む汚職の問題の解決において、かなり無茶な実力行使ではありますが実際に効果を上げてきているのです。

これまでの大統領とは違う、社会が少しでも良くなりつつあることが実感できる、そんな大統領であるから、ドゥテルテ氏は国民から大きな支持を得ているのです。

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ドゥテルテ大統領はアメリカが嫌い?

ドゥテルテ大統領はこれまでオバマ大統領やアメリカに対して暴言ともいえる発言をしてきています。

オバマ大統領に対しては「地獄へ落ちろ」「売春婦の息子」「くそったれが」など、アメリカに対しては「縁を切ってやる」などと発言したことがあり、一国の大統領が公の場で言うにはずいぶんと過激な発言ですよね。

なぜ、これほど過激な発言をアメリカに対して行うのでしょうか? アメリカが嫌いなのでしょうか?

14年前の事件

ドゥテルテ氏がこのような発言をするのは14年前に起きたある事件が関係しているようです。

それは2002年に起きたホテルの爆発事件「メイリン事件」です。

10月22日の会見でドゥテルテ氏は次のように言っています。

当時、そのホテルのあった南部ミンダナオ島ダバオ市の市長だったドゥテルテ氏によると、両足を失うけがをした米国人男性メイリン氏の部屋から爆発物が見つかり、フィリピン当局が調査しようとしました。

そこへ、FBI(アメリカ連邦捜査局)のバッジを付けた人物が現れて、メイリン氏を通告もなしに国外に連れ出してしまったそうです。そして、この件に関してアメリカから一切説明がないと言います。

さらに、9月の東アジアサミットでは、ミンダナオ島でアメリカがフィリピンを統治していた時代に起きたアメリカ兵による住民の殺害事件のことにも言及しています。

どうやら、アメリカのフィリピンを見下したような扱いにそうとう腹を立てているようです。

9月6日、ラオスでの会見でドゥテルテ氏が次のように言っていることからそれはうかがえます。

私は独立国家フィリピンの大統領だ。植民地としての歴史はとっくに終わっている。フィリピン国民以外の誰からも支配を受けない。一人の例外もなくだ。私に対して敬意を払うべきだ。簡単に質問を投げかけるな。このプータン・イナ・モ(くそったれ)が。もし奴が話を持ち出したら会議でののしってやる。©THE HUFFINGTON POST

学生時代に学んだ思想

さらに次のような意見もあります。

ドゥテルテ氏の学生時代はベトナム反戦運動の最中で、大学時代はフィリピン共産党の創設者ホセ・マリア・シソン氏に指示したそうです。

そのような中で、反帝国主義の本を多く読んだそうで、ドゥテルテ氏は反米、反帝国主義の意見を持っていたのではないか、と言われています。

まとめ

本記事では、ドゥテルテ大統領について、

  • ドゥテルテ大統領はなぜ国民に人気があるのか
  • ドゥテルテ大統領はなぜアメリカが嫌いなのか

について、やさしくご紹介しました。

私ははじめ、ドゥテルテ大統領のことを外交感覚のズレたイタイ政治家だと思っていました。

しかし、ドゥテルテ氏のことを調べるうちに、そうではなくフィリピンを良くするという自分の信念に忠実で行動力のある政治家であることが分かってきました。

国際社会における「マナー」など直した方が良いと思う点はあります。人権団体からの風当りも強くなっていくことが予想されるので、過激な違法薬物の取り締まりも長く続けることはできないかもしれません。

私は、ドゥテルテ大統領のように国のことを思う政治家がいるフィリピンが、少しうらやましいと思いました。(もちろん法を無視したような過激な取り締まりはイヤですが)

コメント

コメント一覧 (2件)

  • NHKTVで過去放送されたのと同名の、著作を読んで、また、地方ラジオ局の、ニュース解説を聴いて、ドゥテルテ大統領のアメリカ嫌いの発言は反帝国主義の恨み節と私は考えます。私が読んだ本は、TVとは全く異なった内容でした。題名は、『オリバーストーンが語るもうひとつのアメリカ史』(早川書房から出版)です。フィリピンのみならず、アメリカは多民族国家として独立し民主主義の国として成立していたはずなのに、19世紀末から20世紀初頭頃迄中南米等へも進出して、この辺りからおかしくなっていくのらしいですね。この本には、白人以外の民族は下等であるかのような教育をしている漫画も添えられており、帝国主義の傲慢さを感じますし、アメリカ軍によるフィリピン人虐殺、水責めによる拷問と写真を添えて書いてあります。 今回のこちら様の記事を読みまして、改めて、過去のアメリカとの経緯を勉強させていただきました。ありがとうございます。

  • Kodukaさん、コメントありがとうございます。

    訪れる人もあまりいない、小さなブログですので、コメントがあったことにちょっと驚いてもおります。

    Kodukaさんは私よりもずっと勉強されているようですね。頭が下がります。

    コメントにありました本は、私も以前から気になってはいるのですが、まだ読んでおりません。絶版となり入手困難になる前に読まなければ、と思っております。

    政治、歴史ネタの記事はあまり多くありませんが、気が向いたらまたおいでくださいね。

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