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オートファジーとは?その仕組みや応用についてわかりやすく解説

約5分

東京工業大学栄誉教授 大隅良典(おおすみよしのり)氏のノーベル医学・生理学賞の受賞の発表から一週間ほどが過ぎました。

メディアの熱気も少し冷めてきた様子ですが、あなたは「オートファジー」って何なのか理解できたでしょうか?

今日の記事は、ほかのサイトを見てもいまいちピンと来なかったあなたに贈る「オートファジーとは?」です。仕組みとその応用や可能性について分かりやすく説明します。

オートファジーって何?

大隅教授のノーベル賞受賞で有名になった「オートファジー」。聞き慣れない言葉ですよね。

さっそくネット上で「オートファジー」を検索し、ヒットしたサイトを読んでみても…

オートファジー (Autophagy) は、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ。自食(じしょく)とも呼ばれる。

とか、

栄養飢餓状態になったときに、自分の細胞のたんぱく質をアミノ酸に分解して、エネルギーを得て危機を回避する仕組み

とか、

細胞内のゴミをリサイクルして細胞に必要な新しいエネルギーに変える作用

というような説明が多く、どうも分かったような分かんないような、感じではないでしょうか。

オートファジーの仕組み

オートファジーとは、簡単に言ってしまうと『細胞が持っている、自分自身の一部を分解して再利用するシステム』のことで、あらゆる生物の細胞に共通した仕組みのひとつです。

が、これだけではほかのサイトと同じで、「あー、そうですか」レベルのお話しで終わってしまいます。

大事なのは、

  • 何をどう再利用するのか
  • この機能はどんな役に立っているのか

というところですよね。

まず、これらについて説明し、さらに「オートファジーの応用」といった将来の話しについて説明していきます。

オートファジー: 何をどう再利用するのか?

細胞内にあるものを再利用するのですが、その材料とはなんでしょうか?

それは次のようなものです。

  • 液胞に溜め込まれた、不要となった蛋白質など
  • 傷んでしまったミトコンドリア
  • 外部から侵入してきた細菌

液胞とは細胞内にある小器官で、「細胞内のゴミ箱」などとも呼ばれています。

これら材料を分解し、たとえば蛋白質であればアミノ酸にまで分解され、新たな細胞を作る材料として使われます。

細胞内のものでも、細胞外から来たもの(細菌)でも、不要とみなされたものは分解して再利用するため、オートファジーのことを「ゴミをリサイクルする機能」などと呼んでいるのです。

オートファジー: どんな役に立っているのか?

それでは、この再利用の機能はどんなところで役に立っているのでしょうか? いくつか例をあげましょう。

大隅教授が「オートファジーの仕組み」を解明するきっかけとなった出芽酵母の話しです。
出芽酵母は栄養状態が悪くなる(=飢餓状態)と、胞子を作り休眠状態に入ります。この間は出芽酵母はオートファジーによって得たエネルギーで、最低限の生命維持機能を働かせているのです。
東京大学医学系研究科分子生物学分野教授の水島昇氏は、生まれたばかりのマウスの赤ちゃんは、母乳を飲むまでの飢餓状態をオートファジーによってしのいでいることを明らかにしています。
哺乳類の受精卵は、栄養源がない着床するまでの1週間はオートファジーで耐えていることを、これも水島教授が明らかにしています。

このほか、オートファジーを制御する遺伝子の研究から、これらの中に心臓形成呼吸機能と関連するものがあることも分かっています。

どうでしょう? オートファジーはさまざまところで働いていることが分かっていただけたでしょうか?

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オートファジーの応用

だんだんと仕組みが解明されつつあるオートファジーですが、どのような応用が期待できるのでしょうか?

おもに創薬(新しい薬の開発)の分野で有望なものについていくつかご紹介しましょう。

ヒトの培養細胞やマウスなどを対象とした、脂質の過剰摂取とオートファジーを制御する蛋白質の研究から、非アルコール性脂肪肝や肝臓がんの発症を抑える薬剤の開発が期待できる成果が得られています。(大阪大学大学院生命機能研究科教授の吉森保氏)
放射線による細胞死から細胞を保護する機構にオートファジーが関係していることが報告されています。これはがんの放射線治療に役立ちそうな成果と言えます。(東京医科歯科大学難治疾患研究所病態細胞生物学分野教授の清水重臣氏)
ノーベル賞を受賞した大隅氏自身の最近の成果です。オートファジーが始まるときの、特定の種類の蛋白質の働きが明らかにされました。基礎研究の成果ですが、オートファジーそのものを制御することにつながる重要な成果です。

このほかにも、アルツハイマー型認知症や、パーキンソン病などの変性性神経疾患(脳やせき髄にある神経細胞の中で、特定の神経細胞が徐々に障害を受け死んでいく病気)などもオートファジーと関連していると考えられていて、研究が進み解明されれば新しい薬剤の開発も可能になると期待されています。

まとめ

本記事では、できるだけやさしく簡単に「オートファジーとは何か?」について説明しましたが、お分かりいただけたでしょうか?

オートファジーの研究が今後ますます進み、さまざまな分野で応用されていくことを思うと、ちょっとワクワクした気持ちになりませんか?

ノーベル賞授賞式は、アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日、スウェーデンのストックホルムにあるノーベル賞授賞式会場で行われます。

このときに行われる受賞者のスピーチ、とりわけ大隅氏がどんなスピーチをするのか今から楽しみにしています。

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