智弁和歌山高校の応援曲「ジョックロック(Jock Rock)」は、多くの人が高校野球の中継等で耳にしたことがあると思います。
アップテンポでリズミカルに短いフレーズが繰り返される「ジョックロック」の演奏が始まると、なぜか智弁和歌山は劣勢に立たされていても大逆転劇を演じるという「魔曲」としても有名ですよね。
この「ジョックロック」という曲ってオリジナル曲? それとも原曲があるの?
なぜ、智弁和歌山高校の応援曲として使われているの?
本記事では、こんな疑問に迫ってみたいと思います。
ジョックロック(Jock Rock)の原曲
誰がジョックロックを作曲したの?
応援曲として演奏されている「ジョックロック」には原曲があります。ちょっと調べてみると作曲者はRob Rowberryという人であると、ネットは教えてくれます。
そして、「ジョックロック」の原曲は次の曲であることが分かります。
Robert Rowberry
「ジョックロック」の原曲の作曲者、Robert Rowberry(Rob Rowberry)さんは、米国のCollege-Conservatory of Music, University of Cincinnati(ユニバーシティ・オブ・シンシナティ大学 – コンサーバトリー・オブ・ミュージック)の出身。
この大学はミュージック、ダンス、エレクトロメディア、劇場の4つの学科があり、芸術やエレクトロメディアの分野において、第一線で活躍できる人材を育てることで有名です。
日本人では湯浅卓雄氏(指揮者)が卒業されていますね。
Robert Rowberryさんは、1995年から現在も在籍しているGroveland Roadに勤めており、プロジェクトマネージャとして、マルチメディア、音楽、グラフィックデザインなどの分野で活躍しています。
1990年代には、YAMAHAと契約してXG音源用に楽曲を提供していました。本人によると、当時たくさんの曲をYAMAHA向けに作ったとのことで、「Jock Rock」もそのうちのひとつでした。プロとして作曲や編曲も行っていたんです。
その当時、「©Groveland Road Productions」というクレジットが付された曲がありましたが、彼の言葉によると、これらはすべてプロデューサーであり作曲家でもあったRobertさんが作った曲なのだそうです。
その他、RobertさんはRobert Lee Rowberryの名義で合唱曲(choral music)を作っていたほか、Rob Rowberry、Robert L. Rowberryの名前でも活動を行っていました。現在は「Robert Rowberry」の名前でのみ仕事をしているようです。
ジョックロックってどんな意味?
さて、曲の題名となっている「ジョックロック(Jock Rock)」ってどう意味なんでしょうか?
作曲者であるRobertさんはこの曲の題名については何も明らかにしてませんので、やはりネット上で調べてみました。
Jock Rockの「Jock」が “ジョックとはスポーツマンを主とする『人気者の男性』の事。つまり高校球児のこと” という話しが Yahoo知恵袋にありますが、これは違うのではないかと思われます。
この曲が高校野球の応援曲として作られたものではないからです。
いろいろ調べてみると、「Jock Rock」というのは固有名詞ではなくRockの種類(分類)を表すものであることが分かってきました。
あるサイトには、「Jock Rock」の意味(定義)が次のように解説されていました。
term used to desribe the unintelligent, bloated, bombastic rock promulgated by nickelback and their ilk.
あまり(あるいは、まったく)正確ではないですが、“ニッケルバック(ロックグループ)や同様のグループによって広められた、知性を感じられない、傲慢で大げさなロックを表す言葉” という意味なのだそうです。
ニッケルバックとは、カナダを代表するロックバンドです(スミマセン。オルタナティブ・ロック、ポップ・ロック、コンテンポラリー・ロックと言った分野についてはほとんど分かりません…)。
だとすると、Robertさんはこのようなロックをイメージした曲として「ジョックロック」を作ったのかもしれませんね。
これはあくまでも「仮説」です。このようにも考えられる、という程度に思っていただければ、と思います。
智弁和歌山は応援曲としてジョックロックを使っている理由は?
ご存知の方も多いかもしれませんが智弁和歌山高校の応援曲「ジョンロック」は、同高校吹奏楽部顧問の吉本英治氏が編曲したものなんです。
東京スポーツ紙のインタビューによれば、吉本氏は吹奏楽部顧問となったとき、野球部が甲子園に出場するたびに応援曲を新しく提供することを約束したのだそうです。
智弁和歌山の野球部はどんどん強くなり、毎年のように甲子園に出場するようになると、応援曲作りが追い付かなくなっていきます。
ネタを探すため、一生懸命音源をあさっているうちに偶然に見つけたのが、YAMAHAのデモテープにあったRobert Rowberryの「Jock Rock」でした。
『原曲はゆっくりした曲調だったんですが、アップテンポにすれば押せ押せムードが出るかなと』考え、出来上がったのが応援曲「ジョックロック」だったのです。
原曲の「Jock Rock」もリズミカルでテンポのよい曲ですが、さらに応援曲向きにアレンジしたんですね。
いまでこそ大逆転を呼ぶ魔曲として名高い「ジョックロック」ですが、吉本氏の言葉によると、
ジョックロックがかかるとビッグイニングになるのではなく、ビッグイニングになりそうだからジョックロックをかける。もともと魔曲だったのではなく、徐々に魔曲に育てていったんですよ
との事。
8回以降、得点圏に走者が進むと、これをきっかけとしていつ「ジョックロック」を演奏するか、応援部と吹奏楽部がトランシーバーで連絡とり合いながら、演奏開始のタイミングを決めるのだそうです。
「魔曲」は、じつは念入りに計算された上で演奏されていたんですね。
まとめ
本記事では、智弁和歌山高校の応援曲「ジョックロック」の、
- 『ジョックロック』の原曲は何か?
- 原曲の作曲者は誰で、どんな人か?
- なぜ智弁和歌山高校が応援曲として「ジョックロック」を演奏するのか?
について、ご紹介しました。
「ジョックロック」についてこんな事実を知っていると、また違った目で高校野球中継を見ることができるのではないでしょうか。
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